“We wouldn’t bet on a currency that’s going to hell.”─ウォーレン・バフェット(2025年5月 バークシャー・ハサウェイ株主総会)
引退を表明した投資の神様、ウォーレン・バフェットが2025年の株主総会で米ドルに対し“地獄行き”とまで表現したことが波紋を呼んでいます。一部では『米ドルは紙クズになる』『もう日本円は終わりだ』といった極端な意見もありますが、果たして真実はどこにあるのでしょうか?
バフェットが日本円が紙くずに容易になることを見越して日本円で資金調達して日本商社株を購入
日本円での借金は帳消しになり、インフレの商社株は上昇する
そのバフェットがドルは地獄行きの通貨だと指摘
シンプルだけどおそろしい慧眼
— 👑音速のGOX(2冠)⚡️ (@GOXGOXGOX2) May 6, 2025
というわけで、今日はバフェットの発言の真意やゴールドに投資しない投資哲学・投資戦略について解説していきたいと思います。また、日本の商社株を50年、100年以上保有するとも言っているので、その辺を少し深堀しようと思います。
バフェットの「米ドル地獄行き」発言、その真意とは?
2025年5月のバークシャー・ハサウェイの株主総会で、バフェットは「本当に地獄へ向かっていると考えられる通貨で何かを保有したくはない」と発言しています。これは米ドルの将来性的な安定性めぐる一連の質問の中で出た発言で、事実です。
これが何を意味するかといえば、米ドルが紙クズになることを主張しているというよりは、現在の米国の財政運営に対する強い懸念でしょう。バフェットは「無謀な政府支出と赤字の増大」がドルの長期的な健全性を損なうと指摘しています。
この他、特に最近の保護主義的なトランプの関税政策を『戦争行為』としており、インフレ・通貨安リスクを強調しています。
とはいえ、これは目新しい主張ではありません。バフェットは長年にわたり「紙幣は時間とともに価値を失う」と述べており、通貨インフレ(通貨の価値の低下)は、ある種の自然現象であるというスタンスです。
当たり前の話ですが、通貨の供給量は増え続ける傾向がありますから、価値が薄まっていくのは当然なわけですからね。
やはりどちらかといえば、コロナ禍で急拡大した財政赤字や直近の金利上昇、そして直近ではトランプ政権の不安定な政策がトリプル安(米国株売り・米国債売り・米ドル売り)につながったことへの懸念、急激に価値を失う可能性が(少ないながらも)ある、という警告でしょう。

⬆️通貨量は40年で10倍以上に増加している。
バフェットは本当に米ドルを見捨てたのか?驚きの保有状況
このように米ドルに強い懸念を表明したバフェットですが、バークシャー・ハサウェイの最新(2025年第1四半期)の報告書にみると、いわゆる株以外の保有している“現金”としては、現金及び現金同等物が約429億ドル、さらに短期米国債投資が約3,055億ドルとなっています。
◼️情報ソース(出典)→バークシャー・ハサウェイ/2025年1Q決算(Form 10‑Q)
現金及び現金同等物のうち、その他通貨は2.5億ドルですから、いわゆる現金のほとんど全て、99.999%は米ドルで保有しているということです。
つまり、バフェットは米ドルに対して厳しいことを言いつつも、実際にはたくさんのドル、そしてドル建ての米国債を持っています。
ちなみに、2020年のコロナショックの暴落で大人買いをして以降、バフェットはずっと現金(米国債)を積み増し続けており、理由としては魅力的な投資先・機会がないとしています。
米国債に関しては1年物でも4%以上の金利がほぼノーリスクで付きますから、とりあえずショック相場か割安な銘柄や事業が見つかるまでは待機ということなのでしょう。
いずれにせよ、現金の置き場として米国債を利用していますし、少なくとも短期的に米ドルの価値が紙屑になるということは考えていないということは明らかですから、まずは安心していただければと思います。
なぜバフェットは金(ゴールド)に投資しないのか?明確な投資哲学
バフェット自身、通貨の価値が下がっていくことは繰り返し言っていますが、それでも金(ゴールド)に投資することはありません。個人的には金投資は非常に有力だと考えていますが。
◼️参考記事→【初心者でもわかる】“米国売り”で買われる金が史上最高値を更新中!NISAで始めるゴールド投資の魅力とリスク

ご覧のように50年で金は100倍になりました。裏を返せば、50年で1ドルの価値は金に対して99%下がったと言えます。
では、なぜバフェットが金に投資しないかといえば、それがバフェットの投資哲学だからとしか言いようがありません。バフェットは金に投資しない一番の理由として、「金は何も生み出さない資産」としています。
バフェットは「金はただそこにあって、あなたを見ているだけ」「卵を産み続けるガチョウ(=利益を生む会社など)の方が、ただそこにいて保険料や保管料を食いつぶすガチョウ(=金)よりずっといい」としています。
つまり、バフェットは、投資とは何か新しい価値を生み出したり、継続的に利益を生んだりするものであるべきだと考えていると言えそうです。
要は『利益を生んで成長していく会社や、作物を生み出す農地、家賃収入が得られる不動産といった、お金を生み出す力を持っているものに投資すべき』という投資哲学を持っているのでしょう。
ちなみに面白いことに、バフェットは銀(シルバー)には投資したことがあります(1997年前後)。約1.3億オンスの銀を購入したのは、工業・医療用途という需要増加による価格上昇を見込んだからとしており、銀は“使われて減る”こともポイントだったようです。
バフェットは日本円も危険視?日本株投資の巧みな戦略
また、日本円についてもバフェットは紙クズになると予想していると一部で言われています。根拠としては、保有している現金を使って日本株を買うのではなく、バークシャー・ハサウェイは円建ての起債(つまり、借金)をして、日本株を買っているからです。
バフェットは2025年5月の株主総会で、日本の商社株(三菱商事・三井物産・伊藤忠・丸紅・住友商事の5大商社)について「この日本株のポジションについては為替ヘッジができた」「これらの銘柄は50年や100年保有する予定で、日本円で取引されている銘柄だからだ」としています。
ちなみに、以前には「日本株購入は“円建て資金で調達してある程度ポジションをマッチさせた」としており、円建て社債(サムライ債)で調達し“借り入れ=円ショート”という形で為替リスクを相殺したと明言しています。
つまり、日本株(=円建て資産)を買うなら同じ通貨で安く借りて自然にヘッジにする。日本の低金利をフルに活かして調達コストを極小化することを目的としていると言えます。しかも、この社債は固定金利なので、今後金利が上がっても利払いが増えることもありません。
というわけで、円資産(商社株・円建て配当)と円負債(サムライ債)がほぼ同額なので、円安or円高どちらに振れてもリスクはほぼ限定的です。さらに商社株は資源価格やドル建てビジネス比率が高く、円安で業績が底上げされる側面もあります。
しかも、円安なら債務の実質負担は軽くなり商社株の業績はむしろ追い風であることから、高く評価している…といったところでしょう。
結果として、為替リスクを抑えつつ日本株の長期リターンを狙うという妙手が完成しており、円が紙クズになることを想定しているというよりは、極めて合理的な判断をした、というだけなのでしょう。
「経済的な堀」とは、競合他社に対する参入障壁や持続的な競争優位性のことを指し、バフェット氏が投資判断において非常に重視する概念です。
日本の総合商社が持つ多角的な事業基盤、グローバルネットワーク、長年の実績と信用、そして各産業における深い知見や人材といった要素が、まさにこの「経済的な堀」を形成しています。これら強固な基盤があるからこそ、長期にわたって安定的に収益を上げ続けることができると判断したのでしょう。
バフェットの戦略から私たち個人投資家が学ぶべきこと
ウォーレン・バフェットの一連の発言や投資行動は、私たち個人投資家にとっても多くのヒントを与えてくれます。
・長期的な視点を持つこと:日本の商社株を「50年や100年保有する」と述べているように、非常に長期的な運用を想定しています。短期的な市場の変動やSNSの極端な意見に惑わされず、企業の将来性や本質的な価値を見据えることが重要です。
・『価値を生み出すもの』に投資する:金(ゴールド)のようにそれ自体が新たな価値を生まないものではなく、利益を生み出し続ける企業や、家賃収入を生む不動産など、キャッシュフローを生み出す資産に投資するという投資哲学は、資産形成の王道と言えるでしょう。
・リスク管理の重要性:日本株投資における円建て社債の活用は、為替リスクを巧みにヘッジするお手本のような戦略です。投資においてリスクはつきものですが、それを理解し、適切にコントロールすることは、資産を守り育てる上で不可欠です。
・通貨の価値変動は当たり前:バフェット氏が言うように、歴史的に見れば通貨の価値はインフレなどにより少しずつ目減りしていく傾向があります。特定の通貨が「紙屑になる」といった極端な意見に過度に反応するのではなく、そのような可能性も理解した上で、価値を生み出す実物資産や株式などへの分散投資を考えることが重要です。
まとめ:バフェットの警鐘をどう受け止め、未来に備えるか
・実際に依然として大量の米ドルと米国債を保有しており、米ドルが明日にも紙屑になると考えているわけではない。
・投資哲学の核心は、『価値を生み出す資産』への長期投資であり、金のような資産には投資しない。
・日本株への投資では、円建て社債を活用して為替リスクを巧みにコントロールしている。
・一部のインフルエンサーが「米ドル崩壊」や「日本円は紙屑」といった刺激的な言葉で注目を集めようとすることがありますが、その本質を理解することが重要です。
というわけで結論としては、バフェットは私たちに「ただお金を銀行に預けておくだけで本当に大丈夫なのか?」「インフレや通貨価値の変動に対して、どう備えるべきか?」という根本的な問いを投げかけているとも言えるでしょう。
✅では、私たち個人投資家は具体的にどうすれば良いのでしょうか?
その答えの一つが、「賢明な投資を通じて、自分自身の資産を守り、育てる」ことです。具体的にはバフェットのように、価値を生み出す企業に投資し、その成長の恩恵を長期的に享受することを目指すことです。
「投資は難しそう」「何から始めればいいかわからない」と感じる方もいるかもしれません。しかし、今は少額からでも手軽に投資を始められる環境が整っています。
▼参考記事
→【新NISAはデメリットしかない?本当は危険?】年収300万円から始める“失敗しない”投資信託&米国株の活用術
→株価が暴落した時にやるべきこと・やってはいけないこと/今すぐ分かる大富豪に学ぶ中長期投資戦略!
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5.個人投資家がバフェットから学ぶべきこと