とりあえずウォルマート決算という鬼門をクリアしたのは大きいですね。Xでもポストした通り、EPS（1株あたり純利益）は予想を上回り、売上高は予想を下回ったものの、為替変動の影響を除けば売上成長は＋4.0％と堅調でした。

✅ウォルマート決算（2025年1-3月期）
・EPSは0.61ドルで予想（0.58ドル）を上回る
・売上高は1,656.1億ドルで予想（1,658.4億ドル）をわずかに下回る
・為替変動の影響を除けば＋4.0％の売上成長
・米国既存店売上高は前年比＋4.5％増と堅調
・グローバルeコマース売上高は前年比＋22％増と大幅拡大
・通年ガイダンスを堅持、長期的な成長戦略は問題なし

米国経済異常ナシ！引き続き消費は底堅く、粘り強い経済が続いていると言えるでしょう。もっとも、これはこれで問題がないかというと、米経済が強いがゆえに利下げも先送りされそうで、一定の悩ましさは残すんですけどね。

とはいえ、M7（マグニフィセント・セブン）も再び買われるようになってきており、ここから売るような相場ではないことは確か。

それでは、ここまでの相場について振り返りながら、特にここ数日注目が高まっている米金利について、なぜ注目されているかなどを含め解説していきます。

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一旦は年初来の水準に戻っただけ！戻らないのはドル

金利に注目とは言われても、株価（S&P500）が年初水準に戻したことで、米金利も年初の水準に戻しただけのような気も…。
とはいえ、ベース関税10％や自動車・鉄鋼・アルミといった部門別関税の影響が広く残るにも関わらず、発表前（4月2日）の水準を上回り年初来高値を更新したのは、市場が楽観ムードに傾いていると評価して良いでしょう。
また、同様に金利（米10年債利回り）も年初の水準まで戻しています。金利を下げて、政府債務の借り換えコストを下げたかったトランプでしたが、結局、全戻しでこの混乱はなんだったのかという話になりそう。

一方で、短期の2年債利回りは流石に年初の水準よりは下げており、関税による景気ブレーキからの利下げというのは一定レベルで織り込まれています。
逆に戻らないのがドルですね。ドルインデックス（主要通貨に対するドルの強さを指数化したもの）を見る限り、年初から10％近く下げたままです。

売られすぎた分の戻しもありますが、やはり長い目でみた時のドル安、米国からの逃避という流れは引き続きテーマとして残り続けそうです。

どう転んでも金利上昇になりそうなのが警戒の理由

いずれにせよ、極端な相場感を持つことなくフラットな目線で相場を見ておきたいところです。4月のやたら悲観的雰囲気も、今の楽観ムードも鵜呑みにしないことが重要ということですね。

そして、金利が上昇が懸念されている理由としては、どう転んでも以下の2つのシナリオになりがちという警戒感があるためです。

シナリオ①：関税の影響大→最悪の「スタグフレーション」到来

関税は輸入品にかかる“税金”のようなものなので、モノの値段が上がる（＝インフレ）ことになります。

その一方、関税による負担増で消費が冷え込み、企業の経済成長も鈍ることになります。これは典型的なスタグフレーションと言えるでしょう。

🔰スタグフレーションとは？：スタグ（停滞）＋インフレーション（物価上昇）景気が停滞しているのに物価だけ上がる、非常に厄介な状況。

また、Fed（米国の中央銀行組織）が、景気を下支えするために金利を下げると、ますますインフレが加速することになります。

逆にインフレを警戒するあまり、金利を高止まりさせたままでいると景気の下支えができないわけですから、経済が悪化します。これがFedのジレンマです。

そして、どちらかというと経済学者（パウエルFRB議長）は、『物価の安定を重視する』傾向があると言われており、やむなく高金利を維持→景気後退→株価下落、という最悪シナリオが警戒されています。

シナリオ②：関税の影響低→株高でも金利高

仮に関税の影響をものともせずに米経済が成長した場合、株価は上昇することいなるでしょう。しかし、経済が好調なら金利も上がることいなります。

すでに米国では税収の2割近くが過去の借入に対する利払いに充てられており、金利が上がると利払いコストがさらに増加して、財政が苦しくなります。トータルで見れば、これも株価にとってマイナス材料です。

つまり、どう転んでも金利のコントロールが不可欠であり、これをどうしていくかが今後の課題という見方になっています。

理想的なパターンとしては、パウエルFRB議長が利下げをする中でもインフレが発生せず、金利が低下して底堅い米経済が続いていくことですが、財政を悪化させる減税法案などもあり（悪い金利の上昇につながる）、難しいという話ですね。

というわけで、今後は米長期金利を中心にしっかり金利が低下していくのかが1つのポイントになるでしょう。逆にこのまま上昇し、5.0％といった水準を超えてくるようなことがあれば、株価の急落に警戒しなければならないということです。

現状では流石に上値も重たいので、あまり無理して追いかけることなく下がりをまったり待てば良いかと。もちろん、ノーポジの人はなるべくさっさと買うことですが、すでに買っているならキャッシュ3割残しぐらいで相場のギクシャクを待てるでしょう。

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ドルは初動を大事に米国発リスクオフ材料待ち

為替はドルを中心に値頃感でギュンギュン動いてるイメージ。とにかく、米ドル周りの値動きが異常すぎるので悩ましさしかありませんが、今日発表された米指標の弱さからドル安再びといった感じです。

ただし、相変わらずパウエルFRB議長は見通しを示しておらず、引き続き悩ましさを残しそうです。とはいえ、どう転んでも米経済の舵取りは難しくなるわけですから、そういった意味でもドル安という見方にシフトしつつある感じですね。
米韓の為替協議報道がボディブローのように重しになっているようで、上値も重たくなっています。株高のリスクオンも一巡し、投機筋が積み上げていた円買いポジションを減らす（円安になる）動きも一服しています。

これで米国発のリスクオフ（回避）材料が出てくれば、ドル安からの円高になりやすそうなので、そういった報道が出た瞬間がショート（売り）のチャンスでしょうね。

とにかく、今年は継続的なトレンドが見えにくいというか、大陽線のあとはほぼ必ず（90％以上）陰線という流れがあるように、トレンドが出にくくなっているのが特徴なので、材料にポンと乗っかって初動でさっと抜いて逃げるようなトレードを実践していきたいところでしょう。

また、大陽線が出た翌日はショート（売り）すれば良いということでもあります。

とりあえず、今のドル円だと146円台に頭を出してきたら軽く売ってみて良さそうですね。145円台を割っていく勢いもないので、145円台半ばから前半にかけては利食いのような。あとは、円高の米国発リスクオフ材料をお祈りしたいところです。

ショートしたけど下げ渋り…一旦利食い。確信の持てるトレードがないのだ。短期で小まめにやるしか…🥲 pic.twitter.com/foIxw1596b

— びん子＠社畜アナリスト (@araisanfx) May 15, 2025

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