✅今週も基本は欧州株高・ユーロ高を想定
週明けは意外と円高に振れましたね。一部では、日本の毎月勤労統計調査に対する警戒感もあったと言われます。ただ、結果的に予想を下回ったことで、日銀に対する利上げ懸念は若干後退した感じですね。

もっとも、東京時間帯は実需筋のドル買いから円安になりやすいことが多かったので、今後の海外市場では警戒が必要でしょう。ちなみに、米国は今週から夏時間となり、1時間ほど経済指標の発表が早まりますのでご注意いただければ。

■note➡︎欧州覚醒・脱米国の政治の現状、欧州再軍備が変える相場の流れ
■参考記事➡︎米国株の下落はリーマンショック再来？米2月雇用統計と欧州の財政拡大から読み解く最新相場展望

雇用統計の結果や欧州の情勢、トレンド変化については上記の記事で解説した通りですので、まだお読みでない方はぜひお読みください。

基本的に今週も欧州株高・ユーロ高を想定してトレードしていきたいところではありますが、注意すべき点・見どころなどもありますので解説していくので、最後までお読みください。

欧州株・ユーロの好調が続く理由

欧州ではインフラや国防への大規模投資が検討・実施されており、期待感を後押しする材料となっています。特にドイツが積極的な財政出動を打ち出したことで、欧州株式市場とユーロが強い動きを見せています。

一方の米国は、トランプ大統領の通商政策（特に関税）や政治リスクが意識され、期待感で買われてきた分が反落する流れとなっています。。さらに、政府効率化省（DOGE）に代表されるように、コストカットの流れ（緊縮ムード）が続く見通しから、投資家が積極的に米国株を買いにくい状況となっています。

ドイツは1兆ユーロ規模の財政拡大を計画！ただし、憲法改正のハードルも

トランプとゼレンスキーの停戦交渉決裂などをきっかけに、NATO（北大西洋条約機構）から米国を除いた形でもロシアに対抗できるよう、ドイツは防衛費を大幅に増強する方針です。4,000〜5,000億ユーロ規模を投じる案が出ています。

さらに、防衛費とは別枠で、10年間で5,000億ユーロをインフラ投資に充て、国内経済を強化し、将来的な税収増を目指そうとしています。

これまでも、GDP比2％超の国防費（約700億ユーロ）に加え、特別基金（1,000億ユーロ）を設立してきました。しかし、今の状況ではそれでも足りないと判断し、総額1兆ユーロ（約160兆円）規模のパッケージを検討しているわけです。

しかし、ドイツは2009年の憲法改正で『構造的な財政赤字をGDP比0.35％以内に抑える』という“債務ブレーキ”を導入しています。1兆ユーロ規模の財政支出はこの枠をはるかに超えるため、憲法改正が避けられない状況です。

憲法を改正するには、議会の3分の2以上の賛成が必要。ところが、2月に行われた総選挙でウクライナ支援に懐疑的な政党“AfD（ドイツのための選択肢）”が勢力を伸ばしたため、賛成を得るのは容易ではありません。

“裏技”で新議会召集前に改正？失敗した場合はどうなる？

新議会は選挙から1ヶ月以内に招集される必要があるため、2月23日の総選挙前の旧議会体制のうちに改正を進めようとする動きが急ピッチで進んでいます。3月13日と18日に改正案が提出され、短期集中で審議するといわれています。

もし憲法改正に失敗すれば、1兆ユーロ規模が“より小さいパッケージ”に修正される可能性大。その場合、現在の『ドイツ株買い・ユーロ買い』の流れが大きく巻き戻されるリスクがあります。

相場が一度上昇しているだけに、改正失敗のニュースが出ると下げ幅が大きくなるかもしれません。『もしうまくいかなかったときはどう動くか』を想定してリスク管理を徹底しておきましょう。

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米国株・日経平均の見通し

米国の通商政策の不透明感や緊縮ムードが続くなかで、株価の下支えとなる“トランプ・プット”も期待しにくい状況です。S&P500は5,800ポイントを下回ってきており、さらなる下落で5,500ポイント割れもシナリオとして考えられます。

大きく下げた局面で買えるように、資金管理をしっかり行うことが重要でしょう。短期トレードは、もちろんDAX（ドイツ株価指数）の浅い押し目を拾っていく戦略となります。ただし、繰り返しになりますがドイツ議会での動向に経過しておきましょう。
これまで日本株をけん引してきた半導体株が弱く、日経平均も反落しています。週明けの今日は大幅安が連日辻いたこともあり、買い戻しが入ってやや反発しています。

まぁAIサーバー向けは好調でも、スマホやPC向けの需要が伸び悩んでいます。特に日本は装置メーカーの割合が多いため、世界的な半導体市場の盛り上がりがないと上値が重くなりがちです。

しかも、米エヌビディア（NVDA）ですら株価が伸び悩んでいる現状があるわけですから、今後も期待できるかというと微妙でしょう。海外投資家がずっと握っている高配当銘柄が安定しているので、あえて買うならなら高配当銘柄か。海外勢も円高意識でずっと握ってそうです。

37,000〜39,000円というレンジから、36,000〜38,000円程度のレンジに移行しそうです。とにかく、海外勢が本気で買うような状況にならないと上値は重いままでしょう。さらに、最近は欧州株というテーマもあるので、日本株はどう考えても苦しそうですね。円高も重しです。

今週の為替動向：ユーロに注目

今週は引き続きユーロがどうなるか次第でしょう。ドイツの憲法改正がうまくいくのであれば、まずはそれが1つのピークとなっていく可能性はありますが、しばらくは売られすぎたユーロの買い戻しが継続しやすいと考えられます。

ユーロドル/ユーロ円：一旦調整の動きも想定しつつ押し目買い

ユーロドルは急上昇してきた分、利益確定の売りが出やすいタイミングでもあります。特にドイツの憲法改正がうまくいくかどうかで相場の変動が大きくなりそうなので、注意しておきましょう。

200日移動平均線（1.07245ドル付近）を割り込むような大きな下落があれば、1.050ドル前後のレジサポラインまでの下落も視野に入れたいところ。1.080ドル付近から買いを検討する手もありますが、憲法改正が難航しているタイミングで下げた場合は、一旦様子を見るのも手です。
ドル円の値動きを見ていると、単純な下攻めも難しい感じですね。投機筋の円買いがさらに積み上がった状態なので、このまま材料が出ないと下攻めも難しそう。やはりユーロが強いという状況を踏まえれば、ユーロ円は伸びやすいわけで。

まずは159.00〜159.20円をサポートと考えて、159円台半ばから下ではとりあえず買ってみるイメージですね。あっさり159.00円を割り込んだ場合は一旦損切りです。

ドル円：円買いによる下攻めも限界だが、ドル安主導でならあり得そう

どう考えたってユーロ円の方が強いので、あえてドル円を買う必要はないのかなと。まずはレジサポ147.80〜148.00円がポイントか。この水準を回復できない限り、上値は重たそう。148.50〜148.60円や149.00円あたりの節目も強い抵抗（レジスタンス）になると考えられます。

投機筋の円買いポジションは過去最高水準ですが、円の買い持ちは金利を支払う必要がある為、長時間続くかというと疑問もあるので、戻り売りを試すならあくまで短期で。

特に日銀による5月の利上げ観測が後退するような円売り材料が出れば、ドル円の上昇余地もあります。しかし、その場合でもどう考えてもユーロ円が有望なので、ドル円は引き続き戻り売りを狙う通貨ペアということにはなるのでしょう。

まとめ：欧州優位の流れが継続するかを見極めよう

・今週のポイントはドイツ憲法改正
→欧州株・ユーロの好調を後押ししているドイツの大規模財政拡大は、憲法改正が成功するかどうかにかかっています。失敗すれば一気に巻き戻しもあり得るので要注意です。

・米国・日本株は上値が重い展開に
→米国は通商政策の不透明感、日本は半導体関連の伸び悩みが重石になっています。大きく下がったときに買いを入れられるように、余力を残しておく戦略が大切です。

・為替相場はユーロ高が基本線
→ただし、ドイツ議会の動向次第では短期的にユーロが調整する場面も想定されるため、しっかりとリスク管理を行いましょう。

欧州中心の投資戦略が注目を集める一方で、リスク要因も見逃せません。初心者の方は特に『憲法改正がどうなったか』『その結果、相場がどう動きそうか』という大きな流れを押さえながら、少しずつポジションを取っていくのがおすすめです。

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