明日からの為替展望について解説していきます。まずは、昨日の記事でも書いた通りドイツ総選挙の結果がポイントになります。投票終了は日本時間24日午前2時とのことですから、やはり大勢は日本時間早朝には伝わるでしょう。

■参考記事➡︎【2025年ドイツ総選挙】極右政党躍進ならEU崩壊、ユーロ大暴落？相場への影響とポイント解説

とはいえ、上記の記事でも書いたように、基本的には織り込み済みですけどね。AfD（ドイツのための選択肢）が、どこまで台頭するかが焦点ですが、第1党に迫る勢いといったサプライズでもない限り、ほぼ無風でしょう。

それでは、一部で話題になている“マール・アラーゴ合意”などにも触れつつ、今週の相場展望について解説していきますので、最後までお読みいただければと思います。

国際協調で超ドル安になる可能性も？

最近、マール・アラーゴ合意という言葉が取り沙汰されています。これは、1985年に主要国が協調してドル高是正を行ったプラザ合意をもじったもので、『ドルの価値を下げ、アメリカの金利負担を軽くするために、各国が協調して通貨政策を行う』のでは、といった噂ですね。

この背景には、アメリカのドルが世界で使われる基軸通貨である以上、経済の拡大に伴って世界が常に米ドルを求め続けることがあります。

つまり、ドルの需要は高いわけですから、過大評価されてドル高になり、そして金利高になり、経常赤字（入ってくるお金よりも出ていくドルの方が多い）にもなり、最終的には米国の製造業を衰退させると、ヘッジファンドのCEOでもあり経済学者のステファン・ミラン氏は指摘しています。

ベッセント米財務長官とミラン氏は近い位置にあるとされ、これがマール・アラーゴ（トランプの別荘地）での合意につながるのでは…と警戒されています。

✅参考：プラザ合意とは？
→1985年のプラザ合意では、アメリカを含む主要5か国が協調して円やマルクなどの通貨を対ドルで切り上げ、貿易不均衡を是正しようとしました。結果として急速なドル安・円高が起こり、日本経済も大きく動揺した歴史的な出来事です。

実際に極端なドル安誘導を行う可能性は低い

基本的に、このドル安誘導へつながるような国際協調が行われる可能性はかなり低いように思われます。ベッセント財務長官は、ミラン氏の構想に耳を傾けているとされますが、実際に打ち出しているのは“3-3-3政策”と呼ばれる国内政策です。

・財政赤字をGDP比3％まで抑制（国家財政を健全化する）
・規制緩和により実質GDPを3％に引き上げる（経済成長で雇用を増やす）
・原油生産を日量300万バレルに増やす（エネルギー自給率を高め、国内産業を強化）

もはや、直球でドル高になりそうな政策を打ち出しているんですよね。もちろん、ドル高が困るというのはあるでしょうが、現状で極端なドル安や金利低下を招く、プラザ合意のような国際協調による大規模なドル安誘導を行う必要も、動機もないでしょう。

そんなことをすれば、通貨安からのインフレで苦しんでいる国民がさらに苦しむことになりますし、安定して成長している米経済が壊れかねないわけで、米国の株価的にもヤバいですからね。

繰り返しているように、口では非現実なことを言いつつ、路線は超現実的なトランプがそんなことをするとは思えず、あくまで噂の範囲のように思います。

最近は円高が目立つ展開、ドル高の巻き戻しも

最近の為替相場で目立っているのは、“円高”ですね。通貨強弱を見ても明らかで、ここ1ヶ月、特に先週1週間は円高傾向の強い1週間だったと言えるでしょう。
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では、円高の理由はなんなのかというと、日本の金利上昇が挙げられます。先週は2009年以来の高水準まで上昇し、ニュースでも話題となりました。
日本と米国の金利差の縮小から、円が買われる動きが強まりました。ただ、1.50％節目が近づいたところで、植田日銀総裁が急激な上昇なら国債を買い入れるとけん制的な発言をしたので、これ以上、大きく金利が上昇していく可能性は後退し、極端な円高にはなりにくいでしょう。

また、ドル安については、トランプ大統領が関税強化を訴えていたことから、先回りする形で金利上昇からドル買いに動いてきましたが、思ったほどではなく、交渉次第でどうにでもなるという柔軟な姿勢を示したことから、ドルが売られています。

この他、ロシア-ウクライナの停戦期待でユーロやポンドが買われたり、米中対立がそこまで激化していないことも中国の人民元高につながっていて、相対的にドル安の流れとなっています。

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投機筋のポジションから円高余地は小さいと予想

個人的には、1ドル＝140円になるような極端な円高はないと考えています。良いとこ、148円、どんなにオーバーシュートしても145円ぐらいかなと。その理由としては、投機筋がすでに円買いに傾いてるからですね。
少し分かりにくいかもしれませんが、上記の青いバーが投機筋のポジション、赤い折れ線がドル円のレートを示しています。すでに、昨年9月のもっとも円高だった時期まで円買いポジションが増えていることが分かります。

2024年7-9月にかけて大幅に円高になった時には、過去最高レベルにまで積み上がっていた円売りポジションが一気に買い戻され、円買いに転じたことで1ドル＝160円→140円と言うような、急激な円高につながりました。

繰り返しになりますが、昨年のピーク時並みに円買いが積み上がっているため、これ以上さらに円を買う（円高に進む）余地は限られると考えています。

ドル円のトレード戦略：基本はレンジ意識で

先週末の謎の米国株下げや、マール・アラーゴ合意、ドイツ総選挙など不透明感の強い材料が多いため、ドル円の上値は重たそうです。また、下値試しモードではあるので、昨年12月安値の148.60円や、148.00円といった節目を試す可能性があります。

一方で、ドルを売って円を買うとネガティブ・キャリー（マイナススワップ）になることから、逃げ足も早いと考えられます。仮に下げが鈍ったり、ドル高材料が出てくれば、円買いポジションを一旦決済する動きが強まりやすいので、そうなれば150円台ぐらいにはあっさり戻すでしょう。
レンジ的に1ドル＝148〜152円程度を意識して、トレードするしかないような気がします。短期的なトレンドとしては、やや円高ですが、円を買うハードルもかなり高いので、突っ込んでショートするのはオススメしません。

具体的なトレードとしては、押し目狙いなら149.00円前後では買いつつ、昨年安値割れの148.50円で一旦損切り。戻り売りでは、150円台後半から151.00円前後で売りつつ、151.50円で一旦損切りといったところでしょう。

トレンド派には厳しい状況なので、レンジと割り切って損切り浅めでトレードするか、突発的な材料でチャートが壊れたタイミングを待つぐらいですね。

とにかく、為替は無理するタイミングでもないので、材料見ながらチャンスがありそうなら参加する程度で良いでしょう。

寝ぼけて買ってしまっていたのだ…週明けの東京市場で跳ねたら、一旦利食いするのだ。 pic.twitter.com/TYWnMVisYg

— びん子＠社畜アナリスト (@araisanfx) February 22, 2025

↑先週末にやや寝ぼけてロングしたポジションです。週明け、様子見ながらさっさと利食いしますが、とりあえず、逆指値は148.50円にしておきます。150円ぐらいにポンと跳ねたら嬉しいですけどね🥹

ちなみに、トレード実況をXのびん子（@araisanfx）でやっているので、フォローよろしくお願いします➡︎@araisanfx

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