先ほど（4日14時過ぎ）に、ロイター通信が『日銀が12月会合（18-19日）で政策金利を0.5%→0.75%へ引き上げる公算大。政府も容認』というリーク報道。

■Reuters報道→日銀、12月会合で利上げの可能性強まる　高市政権も容認姿勢＝関係筋

これまで『やるかも？』程度だった12月利上げが、これで一気にメインシナリオ（確定）に固定されました。

植田日銀総裁の『適切に判断する』≒『否定しないならやる』という市場の解釈は今回も正解でしたね。実際、週明け1日の講演・記者会見後、日本の10年債利回りは敏感に反応して今日は1.9％台まで上昇し、『金利2%時代』が目前に迫っています。

となると、円高、さらには株安を連想する投資家の方も多いかもしれませんが、焦る必要は全くありません。

今回のポイントは、『利上げ＝日銀のタカ派化』ではないという点です。この記事では、このことについて詳しく解説しつつ、今後の為替と株価の展望について解説していきます。

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市場は何を織り込んでいるか？

今回の報道で重要なのは『0.75％への利上げ』そのものよりも、『その後のペース』です。

リーク記事の行間を読むと、『1回利上げして、その後はデータを見ながら（＝連続利上げは急がない）』という従来の日銀文学の域を出ていません。

🔹短期（会合まで）：利上げ織り込みと期待でJGB（日本国債）は金利上昇圧力が続く可能性。海外勢が国債の売り仕掛け（金利は上昇）をしてくる局面では株価のボラティリティが増す可能性。

🔹会合後（重要）：0.75％の事実よりも、『次回はいつか？』のヒントが勝負。もし『次はしばらく様子見』なら、材料出尽くしで金利低下も十分あり得ます。

基本的に来年早期（1月or3月）というのは織り込まれていましたので、今回の利上げに関しては、12月に前倒しされた程度で、サプライズはありません。

また、OIS市場（金利市場）を見ると、この次の0.75％→1.00％への利上げについては、早ければ来年後半か、再来年の春闘前後という見通し。

したがって、12月19日の植田日銀総裁の定例記者会見で、連続利上げや早期にさらなる利上げといった大サプライズでもない限りは、極端な円高・株安にはなりにくいということが言えるでしょう。

しかも、1.00％達成後の利上げについては、3年後や4年後が想定されていますので、現状では相当ゆったりとしたペースで利上げが続くことが想定されています。

つまり、サプライズさえなければ、短期的なギクシャクはあっても、日銀は動かないという姿勢が見えやすく、相場は徐々に落ち着いていくことが予想されます。

ドル円戦略：短期は『上値重め』だが

ドル円（クロス円）の動きはシンプルに『日米金利差 × 株のリスク地合い』で決まるでしょう。

足元では、日銀の利上げ観測（円高要因）と、米国の弱い指標によるFOMC利下げ期待（ドル安要因）がダブルで効いている状況。

もっとも、それにも関わらず155円台が維持されており、米国がよほどドラスティックに利下げをするような方針転換でもない限り、極端なドル安・円高は見込みにくいと言えます。

🔸会合までの基本戦略：日銀イベント（12/18-19）に向けては、『上値が重く、下方向への突っ込み（ヒゲ）が出やすい』展開がベースです。

⚠️【重要】ドル円の『クセ』を逆手に取る：市場が『12月利上げ（0.75%）』を完全に織り込めば織り込むほど、会合当日に向けては『事実売り（Buy the fact）』で逆に円安に戻る可能性が高まります。

12/9-10の日程で行われるFOMC（米連邦公開市場委員会）も予定されており、ドルの動向もあるので悩ましいですが、こちらも基本的にはサプライズはない見通しなので、現段階でドル円の暴落というのは見込みにくいと言えます。
⬇️ベースシナリオ（会合前）：じりじりと円高圧力（155円割れなら→152〜154円ゾーンへ下値試し）

⬆️反発シナリオ（会合後）：『利上げ実施＋ハト派発言（次はデータ次第）』なら、安心感から155円方向へ戻る展開も。

🚨急落シナリオ（サプライズ）：『利上げ＋追加利上げ示唆（タカ派）』なら、150円割れをトライする円高へ。

現状では政府・日銀の円高誘導は失敗していることから、150〜152円台で下げ止まるなら押し目狙いのロングや、米国株を買っている人は資金の一部をドルに両替する『ドル転』のタイミングも意識しておきましょう。

年末年始は薄商いで荒れやすく暴落パターンもあり得ますが、そうなったらそうなったでスワップポジションを意識したドル円のロング（買い）なども考えておいて良いと思います。

■参考記事→【ドル転】の正解はどこだ？次期FRB議長とAIが招く2026年の『法外な特権』相場

日本株：指数は強めでセクロテ意識

日経平均は5万700円台、TOPIXは3,390台と依然として高値圏です（12/4時点）。米国株の強さと『世界的なリスクオン』が支えとなっています。

では、日銀利上げで日本株は暴落するのか？個人的には、『指数は底堅いものの、セクター（中身）は入れ替わる』パターンを想定しています。

🔹輸出株（自動車・電機）：円高は明確に逆風。指数が上がっていても、トヨタなどの大型輸出株が重い日は増えるでしょう。特に『日経平均がTOPIXに負ける』日は要注意です。

🔹金融株（銀行・保険）：短期的には今回の最大の勝者になり得ます。『10年金利2％視野』は、銀行の利ざや改善期待そのもの。金利上昇局面では、資金がテック株からバリュー・金融株へシフトする『循環（セクター・ローテーション）』気味の値動きもあるでしょう。

つまり、短期的には『金利上昇で買われる株（金融）』への乗り換えが目先のトレンドとなります。

ちなみに、後ほど記事にする予定ですが、米国株については、全く心配しておりません。

繰り返している通り、FRBのQT（量的引き締め）も事実上ストップし、12月は利下げが正当化されます。

ボラが高いとCTA（機械勢）のポジション削減から一定レベルのギクシャクはあるにせよ、致命的な調整に至るような状況にないことは明らかですからね。
したがって、下がっても弱気になりすぎずに、拾うべき銘柄はしっかり拾っていく。インデックス投資もしっかり続けていくことが重要と考えます。

まとめ：12月相場のチェックリスト

日銀の12月会合は『結論（利上げ）』よりも『速度（次の一手）』の勝負になります。

🇯🇵日銀（12/18-19）：0.75％後の『温度感』がカギ。『早すぎず遅すぎず』なら株・為替ともにアク抜け上昇も。

⚠️賃上げモメンタム：今後の注意点としては、春闘に向けた動きが強い場合、日銀が強気見通しになる可能性などが挙げられます。

🇺🇸米国の利下げ期待：ドル円の底堅さは、結局のところ米経済次第です。現状はほどよい強さですが、極端に弱い雇用指標などが出た際は、ドル安が意識される可能性はあります。もっとも、利下げでドル安でも株高が一定レベル円売りを誘発し、ドル円は底堅いでしょう。

✅結論：ドル円野短期トレードは『会合前の円高』を拾いつつ、『会合後の反発』で利食い。株は『金融・内需』への資金シフトに乗っかっても良いでしょう。基本的に、押し目があれば拾って問題ないと考えます。

イベント相場は『当たる・外れる』よりも、『外れても問題のない投資をする』ことが重要です。12月の金融政策イベントは、今年の収支はもちろん、来年の収支にもなるイベントです。

為替や株の急落があれば、ドル転や押し目買いなどを積極的に狙っておきましょう。

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