【マイクロン急落】シティが目標株価18%引き下げ→メモリ株に売り圧力!でもレポートの中身は「業績悪化」ではなかった

値動き的には小幅安でしたが、弱い弱い7月の米国雇用統計を受けて、米国株全体が大幅に上がっていただけに、実質大幅マイナスという話です。
背景としては、シティの著名アナリストがマイクロン(MU)の目標株価を1,400ドル→1,150ドルへと▲18%の大幅引き下げを行なったことがあります。
というわけで、今日は時系列を整理しつつ、シティのレポートを読んだ上で、どうして目標株価が引き下げられたのか。そして、そのことについてどう考えるべきなのか、どう行動するべきかを徹底的に解説しておきます。
金曜に起きたメモリ株だけ下がる『ねじれ』
まず、時系列を簡単に整理したいと思います。8月7日の米国市場は、雇用統計をきっかけに米国株が買われました。7月の非農業部門雇用者数はマイナス2.3万人。市場予想の+8.0万人に対して、そもそもマイナスなので強いわけがありません。
5月・6月分も合計マイナス10.3万人が下方修正され(6月は+5.7万人→+2.0万人)、平均時給も前年比+3.2%と予想の+3.5%に届いていません。
失業率だけは4.1%と予想より良かったのですが、失業率は『働く意思のある人』を分母に計算するので、職探し自体を諦めた人が増えれば、雇用が悪化していても数字は下がるのです。加えて、移民労働者の流入が細っている影響も分母に効いてきます。
というわけで、あからさまに労働市場は減速し、賃金インフレも後退しているので、金利は低下⬇️(高金利だと株に投資をする理由がなく、そもそも金利により将来の利益が実質割引かれるため株価には逆風)
流石にFRB(米連邦準備制度理事会)も、次の一手で利上げはないやろ、ということで株は買われました。
📈ダウ:54,036.93ドル(+151.83/+0.28%)
📈S&P500:7,757.64(+47.68/+0.62%)
🚀ナスダック:26,690.62(+342.27/+1.30%)
特に金利高によって押し下げられてきた、ハイテク株、ナスダック大幅高!ところが、メモリ株だけが下がりました。
🔹サンディスク(SNDK):始値1,309.30ドル → 安値1,184.37ドル → 終値1,212.21ドル(前日比▲3.68%)
🔹マイクロン(MU):始値903.60ドル → 安値847.02ドル → 引け際874ドル台(前日終値881.47ドル)
どちらも寄り付きが高値で、そこから1時間足らずで急落し、引けにかけて少し戻すという同じ形。前日に▲10%超の下落を演じた韓国のSKハイニックスも、7日は買い戻しで高く始まりながら、結局▲5%近い下落で引けています。
日本・米国・韓国でも同じ形であり。これは、明らかに『相場が悪い』のではなく、メモリという一点に売りが集まったということです。
一方で、週の序盤に出たISM製造業景況指数は55.6(市場予想54.0、6月53.3)で、2022年5月以来、約4年ぶりの高水準。生産は58.5、新規受注は56.7、そして雇用の指数が52.8と縮小圏から拡大圏へ。牽引しているのはAI関連の設備投資需要で、電子製品を含む12の産業が生産拡大を報告しているほどです。
まさにチグハグな値動きを整理すると、以下のようになります👇
🔸製造業の景況感は絶好調=AI設備投資は実需として動いている
🔸しかし、米国経済全体を過熱させるほどの熱量には届いていない=雇用は増えず、賃金も予想以下
AIの実需は強いまま、FRBが積極的に利上げに動く根拠だけが消えたことになります。教科書的に言えばゴルディロックス(熱すぎず冷たすぎず)で、株には素直に追い風です。
にもかかわらずメモリだけが下がりました。つまり、金曜の下げは景気でも金利でもなく、メモリ固有の下げ方の問題だったと言えます。
シティのレポートを分解して解説!
そして、メモリ下げのレポートを書いたのは、シティグループのアティフ・マリク氏で、TipRanksが追跡する1万2000人以上のアナリストの中で2位にランクされている著名アナリストです。ニュースのヘッドラインは、『マイクロンの12ヶ月目標株価を1,400ドル → 1,150ドルへ、約18%引き下げ』ということで、SNSでも話題となっています。読者の方からも多くの質問が寄せられています。
💡下げたのは『稼ぐ力』ではなく『バリュエーション(PER評価)』
シティが引き下げたマイクロンの1株当たり利益(EPS)予想は、2027年度でわずか▲1%、2028年度でも、たったの2%だけです。では、なぜ目標株価がこれだけ下げたのか。答えは、マイクロンに当てはめるPER(株価収益率)を10倍から8倍へ引き下げたからです。
その理由としては、『メモリ同業のまちまちな決算を受けた市場全体の倍率(バリュエーション)低下』を挙げています。
株価はざっくり『1株の利益 × 何倍の値段をつけるか』で決まります。同じ月収の人でも、勤め先が安定して見えるかどうかで借りれるローンの額は変わりますが、今回はまさにそれです。
収入(利益予想)は変えていないのに、貸す側の評価(バリュエーション、許容PER)だけが下がったと言えます。
※PER(株価収益率)とは、株価が1株当たり純利益(EPS)の何倍にあたるかを示した指標。割安か、割高かの判断材料に使われることも多い。
つまり今回の引き下げは、ほぼ倍率(許容PER)の話です。マイクロンが稼ぐ力について、シティはほとんど何も変えていません。
そして、マリク氏の主張の中心は、DRAMとNANDの両方で今後4四半期にわたって前期比の価格上昇率が減速し、価格は2027年第2四半期にピークを迎える、というもの。具体的には2027年下半期のDRAM価格を半期ベースで3%下落(従来は横ばい予想)、NANDはさらに厳しく5%下落する、しています。
メモリ株に限らず、株価の評価というのは概ね半年から1年先の評価で売買される性質があります。したがって、減速の兆しが見えると、今の業績が絶好調でもバリュエーションは削られます。今回、許容PERを引き下げたのは、この理屈です。
🇨🇳最大の懸念は中国企業の生産能力の増強
さらに、シティが『最大のリスク』として挙げているのが、中国メモリメーカーの生産能力増強です。YMTC(長江存儲・NAND)は現在の月20万枚に来年5〜6万枚を追加する計画で、2030年までに世界最大のNANDプレーヤーになると公言しています。
また、CXMT(長鑫存儲・DRAM)は現在の35万枚から来年約40万枚、2030年に約60万枚が目標としています。
ただし、いずれも歩留(材料に対して得られた完成品の割合)は依然として低く計画通りに製品として出てくるかは別の話、といった指摘もしています。
また、輸出規制があるため中国製メモリが米国市場に直接流れ込む可能性は低い一方、欧州などのデータセンター向け販売が間接的に効いてくることを懸念しています。
要するに、中国勢が米国以外に量を振り向けることで、マイクロンの国際的な価格交渉力が削られるというシナリオです。
これは短期の需給ではなく構造の話なので、確かに無視することのできない懸念ではあるでしょう。
そもそもメモリ価格を予想できるのか?
で、ここが今回一番言いたいところです。市場では『メモリ価格のピークはいつか』『今回のサイクルはいつ終わるか』と盛んに予想されています。
が、そもそも今までそんなに当たってきたんかい!と問い詰めたい。そんな予想ができるなら、1年前にメモリ株買うだけで10倍ちゃんうかと、小一時間ですよ。
私がnoteやブログで何度も紹介しているパウロ氏(@paurooteri)のレポートを追っていれば分かりますが、メモリ市場はプロのアナリストでも驚くほど全く読めていません!
なんと、1年先どころか、1ヶ月先ですら全然当たっていません😤
1カ月で状況が一変したDRAM市場
具体的な例を挙げます。ここからは、パウロ氏のnoteを読んだ上で見て欲しいのですが、分かりやすいのが台湾の南亞科技(Nanya Technology)です。6月の売上高は前月比+6%台と、市場予想の+20%程度を大きく下回って売られました。ところが、その翌月の7月には売上高が一気に加速しています🚀
🔗参考記事:月額たった500円のパウロ氏のメンバーシップで確認する▶︎再加速するDRAM
これは南亞科技だけではなく、他の台湾DRAMメーカーでも同じ傾向が見られています。つまり、市場が想定していた以上のスピードでDRAM需給が急激に引き締まり、価格が大幅に上がった、というわけです。
しかし、そのことをアナリストは1ミリも読めていませんでした。
AI向けHBMが、汎用DRAMまで圧迫している
背景にあるのは、AI向けHBMへの生産集中です。当然ですが、サムスン、SKハイニックス、マイクロンなど、技術力の高い大手DRAMメーカーは、利益率の高いHBMやDDR5などの先端品へ生産能力を振り向けています。工場で作れる量には限界があるので、HBMを増やせば、その分DDR4などの汎用DRAMを作る余力は減ります。
つまり、
AI需要増加
↓
HBMへ生産能力を集中
↓
汎用DRAMの供給が減る
↓
DRAM全体が不足する
もちろん各社は増産に動いています。しかし、新工場を建てて実際に生産能力が立ち上がるまでには時間がかかります。
新しい供給が本格化するのは2027年後半から2028年にかけてと言われています。
つまり、『増産する』というニュースは、『すぐ供給不足が解消する』という意味ではありません。むしろ、今から増産しても供給が増えるまで1〜2年以上かかるということです。
当然ですが、その過程の中で計画遅延もあるでしょう。ホルムズ海峡の問題はもちろん、米中間の貿易戦争など、さまざまな供給障害から計画通りに生産が進まない可能性の方が高いように思います。見るべきは『アナリストのピーク予想』ではない
いずれにせよ、わずか1カ月先の需要加速すら市場は正確に読めませんでした。そんな市場であるにも関わらず、『2027年○月がピーク』『ここからメモリ価格は下落する』というレポートに、どれだけの価値があるのでしょうか?
正確に当てるのは、ほぼ不可能のように思います。もちろん、メモリ価格はいつかピークを迎えますし、各社が設備投資を重ねる中で、利益率の低下などは当然出てくるでしょう。
ただ、見るべきなのはピークの時期を当てることではなく、実際に需要が鈍っているのか、売上高がどれだけ増えるのか、供給が増えるのか、在庫が積み上がっているのか、といった変化です。
そして、今後確認すべきなのは、
✔︎『予想されたピークに向けて、実際に需給が崩れる傾向があるか見る』
これだけで十分でしょう。基本的に、利益率は下がっても需給が崩れていない限り、売り上げは増え続けるわけで、それに株価はついていくことになります。
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PERが正当な評価になれば株価は3倍も
この辺は、明日のサンディスク目標株価5,000ドル記事でも書いていこうと思いますが。まだまだまだまだメモリ株は極めて割安です。12ヶ月後の予想PERはざっくり、
・SKハイニックス:約5倍台(韓国本国なら3倍台)
・マイクロン:約6倍
・サンディスク:約6倍(ストレージ株ですが)
となっており、異常に割安な水準となっています。
株価は基本的に『EPS× PER』で決まりますから、仮にここから業績が一切伸びず、EPS(1株当たり純利益)が横ばいだったとしても、市場からの評価が変わって許容PERが2倍になるだけで、理論上の株価もほぼ2倍になります。
🔗サンディスク(SNDK)好決算でも急落!「成長限界説」は本当か?市場が見落とす利益構造と次の買い場
上記のnoteでも解説した通り、メモリやストレージ銘柄はLTA(長期供給契約)により、利益の上振れ余地は残しつつも、下振れは消すという、以前にあったような景気の激しく影響を受ける銘柄ではなくなっています。
つまり、『メモリ=超景気敏感だからPER5〜6倍で当然』という市場の評価そのものが変わるだけで、株価には巨大な上昇余地が生まれるわけです。
しかも、どう考えても需要を見る限り、まだまだまだまだ業績の向上余地はありますからね。
私が期待しているのは、スーパーサイクルの継続だけではなく、この『PERの正常化』もあるので、メモリ・ストレージ銘柄に関しては、メチャメチャ強気で見ています。
私は今後もメモリ株を買い続けます!
サンディスク(SNDK)は、ナンピンしながら今年3月第1週に555.55ドルでも買っていますし、同様にマイクロンも300ドル台で買っています。いずれもピークから、大きく下落したとはいえ、まだ買値の2倍以上です。一方でSKハイニックスADR(SKHY)は150.50ドルから買っており、8月7日終値は137.91ドルなので、こちらは含み損です。
まだまだトータルでもSKハイニックスの割合は少ないですし、PER的にもかなり割安なので、今後は優先的に買っていきたいと思います。
もちろん、『メモリ株は上がるから今すぐ全力で買え』という話ではありません。まだメモリ株の売りは終わっておらず、しばらく調整は続く可能性が高いです。
それでも、今後もメモリ需要が続き、完売状態が続くのであれば、EPS(1株当たり純利益)は自ずと伸びていくでしょうし、市場の異常なほどの低PER評価、バリュエーションの低さも改善されていくと考えています。
もちろん、迷うのであればS&P500などに、毎月積み立てるという方針でも良いと思います。結局、米国上場企業はメモリ株に代表されるように桁違いの利益を得ているわけですから、いずれ株価に反映されていくことになります。

🙌ここまで読んだ人に一つだけ伝えたいこと
投資を始める前に、「もっと勉強してから」と言う人は多いです。私も昔はそう思っていました。でも16年間相場を見てきて感じるのは、むしろ逆です。
持つから調べるようになる。1株持っていれば、雇用統計を見る。決算を見る…台湾企業の月次売上を見る…DRAM価格を見る…ドル円を見る。
このように世界のニュースが全部、『自分のお金に関係するニュース』へ変わります。
だから私は証券口座を、単なる『株を買うための場所』ではなく、世界経済を自分ごとに変えるスイッチだと思っています。
いきなり何十万円、何百万円も投資する必要はありません。SKハイニックスADR(SKHY)は8月7日終値で137.91ドルなので、為替次第ですが1株なら日本円で2万円台です。
まず1株。あるいは個別株が怖ければNISAでインデックス。それぐらいからでも十分でしょう。
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私が実際の取引でもメインで活用している口座の一つです。今回の記事で触れたSKハイニックスADR(SKHY)も取り扱っています(※為替によりますが1株2万円台から投資可能)。【松井証券が選ばれる3つの強み】
👍強み①日本時間17時から『時間外取引』が可能
→米国株の決算やニュースの初動は、夜中の開場前(プレマーケット)に起きます。松井証券なら夕方から動けるため、トレンドに乗り遅れません。
👍強み②NISA口座なら米国株の売買手数料が『無料』
少額から始める人ほど、手数料負けしない環境が必須です。
👍強み③米ドルへの両替時『為替手数料』も無料
→円⇔ドルの行き来でコストを取られないのは、海外投資において大きなアドバンテージです。
まとめ:予想にビビらないこと!
今回のメモリ株急落を受けて、投資家が押さえるべき最重要ポイントは以下の3点です。その❶売られた理由は『業績の悪化』ではなく『評価倍率(PER)の切り下げ』
シティによる目標株価引き下げ(▲18%)の本質は、マイクロンの稼ぐ力の衰えではありません。利益(EPS)予想の修正:FY2027は▲1%、FY2028は▲2%とほぼ微減です。✔︎株価引き下げの真因:市場の許容PER(評価倍率)を10倍から8倍へと切り下げたため
マイクロンが稼ぐ構造そのものは損なわれておらず、『将来の減速リスク』を理由に許容されるバリュエーションだけが削られたのが今回の下げの正体です。
しかし、あまりにも許容PERが低く見積もられ過ぎているので、今後、再度上振れ修正されると考えます。そもそも、売上高も予想を上回るでしょうしね。
その❷プロのアナリストでも『1ヶ月先のメモリ需給』すら当たらない
レポートでは『2027年の価格ピーク』や『中国勢の増産』が懸念されていますが、メモリ市場のピーク時期を正確に予測することはプロ(そもそもメモリに関しては素人だが)でも不可能です。実際、台湾メーカーの月次データをに対する予想を見る限り、DRAM需給逼迫や価格の変動に関して、1ヶ月先ですら1ミリも読めていません。
そもそも当たらないのに、さらに当たらないであろう遠い未来の『予想(ピーク説)』に怯えて狼狽売りする必要は、全くないと考えています。
その❸メモリ株に強気であり続ける理由:『業績成長』×『PERの正常化』
現在のメモリ・ストレージ銘柄は、12ヶ月予想PERが5〜6倍という異常な割安水準に放置されています。✔︎業績の拡大(EPS向上):AI向けHBM需要集中に伴う汎用DRAMの供給不足、LTA(長期供給契約)による下振れリスクの低下
✔︎評価の修正(PER正常化):『超・景気敏感株』という市場の古い偏見が改まるだけで、株価には数倍単位の上昇余地がある
💡 今後のアクション方針
『2027年○月ピーク説』という予想を鵜呑みにせず、毎月発表される現実のデータ(売上高・需給・在庫)に崩れが出ていないかだけを愚直にチェックする。データ上の需給が崩れていない限り利益は伸び続け、株価はいずれ適正な評価へと追いつきます。不確実なノイズ(予想)にビビるのではなく、事実(数字)を軸に淡々と相場に向き合っていきましょう。
⚔️ おまけ:米国株をやると『ドル円(FX)』もチャンスになる/PR
今回のメモリ株急落の引き金も、元をたどれば『米雇用統計の悪化と金利低下』でした。米国株をやっていると、自然と金利、CPI(消費者物価指数)、そしてドル円の動きに敏感になります。中長期での株の保有に加えて、短期的なマクロ経済の波(ニュース)に乗るなら、FX口座を持っておくのも有効な戦略です。
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