【米10年債4.8%】AIバブル崩壊どころか、金利急騰の「犯人」はAIだった!【金利の正体】

『日米欧で債務不安が共鳴』などと日経新聞でも報じられている通り、世界中の国債が同時に売られた1週間でもありました。
こうなると、財政破綻、通貨危機、AIバブル崩壊…etc。言われていることは大体同じです。ほぼ毎年AIバブルの崩壊を唱える、エミンさんもそう言っていましたw👇
長期金利3%時代の到来。債券市場は株式市場と違って根拠の薄い夢物語やオプションを使った市場操作は通じない。金利上昇が続けばキャリートレードもAIバブルも崩壊します。
— Emin Yurumazu (エミンユルマズ) (@yurumazu) September 1, 2026
エミンさんが言うとメチャクチャ説得力があるな!
とはいえ、今回の金利上昇は『インフレが暴走する金利上昇』ではありません。市場が織り込む今後10年の物価上昇率(ブレークイーブン)は2.35%。
つまり、2022年の3%超とは全くの別物です。上がっているのは実質金利(2.42%)と、長期間の国債を持つことへの上乗せ(タームプレミアム)です。
分かりやすく言うと、今は『インフレが怖くて金利が上がっている』のではなく、『政府も企業も金を借りたがっていて、資金の値段そのものが上がっている』という話です。
そして、その実質金利を押し上げている犯人は、間違いなくAIブームであるということ。
ハイパースケーラー5社(メガテック)が今年発行した社債は約2,200億ドルで、昨年通年の1.8倍です。すでにAI関連の起債は米投資適格債全体の15%
に達しています。
そもそも論として、前年比+50%とか+100%とか、バグった売り上げ成長がポンポン出てくるAI相場が、金利が0.5%とか1%上がったところで終わるはずがないわけで。
今日はその辺について、分かりやすく丁寧に現役JKが解説しておきたいと思います。

今週は金利上昇ラッシュ!
🔥9/1(火):米10年債は4.81%と2023年11月以来の高さ。30年債は5.27%で、8月に財務省が臨時の買い戻しに踏み切る前の水準にあと0.06%。2年債も4.39%と1年半ぶりの高さに。🔥同日、日本の10年債は一時3.015%(1996年以来)、5年債は2.26%で過去最高。英10年債5.25%(2008年以来)、独10年債3.35%(2011年以来)、フランスは2008年以来、オーストラリアは2011年以来の高さでした。
⚔️きっかけは中東で、米国とイランが1カ月ぶりに攻撃を応酬し、ブレント原油は90ドル台半ばへ。インフレ再燃懸念から、FRB・ECB・日銀がそろって9月に『利上げ』という観測が一気に強まりました。
👷♂️9/4(金)の8月雇用統計は+16.2万人(予想5.3万人)、失業率4.1%、平均時給は前年比+3.1%。6〜7月分も合計+5.5万人上方修正。CME FedWatchの9月利上げ確率は49%→60%へ。10年利回りは4.78%でフィニッシュ!
気になる株は金利高にも意外と耐えており、S&P500は週間+0.1%、ナスダック+0.4%。8月中旬につけた最高値の目前(▲1%未満)、年初からは+13%という、なんだかんだ例年並み以上に強い水準。
ちなみに、為替(ドル円)は日銀の利上げペース加速観測で、一時1ドル=155円台前半まで円高が進んでいます。
そもそも金利とは何か?
そもそも金利とは、ものすごく簡単に言えば、『お金を借りるためのレンタル料』ですね。例えば100万円を1年間貸して、1年後に105万円になって返ってくるなら、金利は5%です。この5万円が金利であり、レンタル料ということです。
そして相場で特に重要なのが、米国の10年国債利回り=長期金利です。これは『アメリカ政府に10年間お金を貸すなら、何%の利息が欲しいですか?』という市場の答えだと思えばOKです。
この米国の10年国債利回りが、世界の市場ではパフォーマンスの基準指標にもなっています。
そして、この長期金利は一見すると『4.8%』のような1つの数字ですが、ざっくり言えば中身は3つに分けて考えることができます。
その① 期待インフレ率:物価上昇で減ってしまう分の補償
例えば、これから毎年2%ずつ物価が上がるとします。今の100万円で買えるものが、10年後には100万円では買えなくなっているわけです。なので、お金を貸す側としては、
「物価が上がってお金の価値が減る分くらいは、利息を上乗せしてよね!」
となります。これが期待インフレ率です。要は市場参加者の考えている、将来のインフレ率です。
その② 実質金利:物価上昇を差し引いても欲しい、本当の利息
インフレ分を取り除いたあとに残るのが『実質金利』です。例えば、
・長期金利が5%
・期待インフレ率が2%
なら、単純化すると実質金利は約3%(長期金利5%−インフレ率2%)となります。
これはつまり、
「物価上昇を差し引いても、お金を貸すならこれくらいのリターンが欲しい!」
というのが実質金利の水準です。景気が強かったり、企業が工場やAIデータセンターを作るために大量のお金を必要としていたりすると、資金の需要が増えるので実質金利は上がりやすくなります。
言い換えれば、世界中でお金を借りたい人が増えるほど、『お金そのものの値段=金利も上がりやすい』ということにつながります。
その③ タームプレミアム:10年間お金を貸しっぱなしにするための『不安料』
最後がタームプレミアムです。10年という長い期間には何が起きるか分かりません。「途中でインフレが再燃するかもしれない」
「政府が国債を大量発行するかもしれない」
「もっと高い金利の商品が出てくるかもしれない」
だったら、
「10年間も固定して貸すんだから、その分ちょっと余計に利息をください」
となります。これがタームプレミアムとなります。
最近のように米国政府が大量に国債を発行し、財政赤字への警戒が強まる局面では、この『長期間貸すことへの不安料』が上がって長期金利を押し上げることがあります。
つまり、かなり簡単にまとめると、✔︎『長期金利=物価上昇への補償+お金そのものの実質的なレンタル料+長期間貸すことへの不安料』
というイメージで整理することができます。
ここを理解すると、『金利が上がった』というニュースを見たときに重要なのは、「金利が上がったこと自体ではなく、なぜ上がったのか?」だということが理解できると思います。
したがって、❶インフレ懸念で上がっているのか。❷景気が強く、企業がお金を借りまくっているから上がっているのか。
❸それとも政府の借金が増えすぎて、『10年間も国債を持つならもっと利息が欲しい』と投資家が要求しているのか。
原因によって、株式市場への意味はまったく変わってくるわけことにもなります。
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現状の金利の意味はどうか?
セントルイス連銀(FRED)の9/3のデータで見ると、✔︎10年金利4.77% = 期待インフレ2.35% + 実質金利2.42%
となっています。そしてFRBのモデルが示すタームプレミアムは0.88%(8/28)です。これは、2025年1月に0.8%を超えて『2011年以来の高さ』と騒がれた水準を、すでに上回っています。
ここで2022年と比べてみます。2022年4月、10年の期待インフレは3.0%を超えていました。
これは、『インフレそのものが制御不能になる』という恐怖が金利を押し上げていたということです。しかし、今は2.35%、8月平均でも2.29%となっています。
つまり今回の4.8%は、インフレ由来ではなく、実質金利とタームプレミアム由来ということになります。
これは、『お金の奪い合いが激しい』金利(実質金利)と、『国債を長く持ちたくない』金利(タームプレミアム)ということです。
実質金利2.4%というのは、2023年秋に10年金利が5%に迫ったときに匹敵する高さです。
ちなみに、デフレの世界では物価が下がるのでお金の価値が上がっていくことになりますから、1年後には同じ100万円で今より多くの物が買えます。
お金を持っているだけで得なので、これはこれで金利が上がったりもします。だって、お金を持ってるだけで得なので、誰も貸したくないわけですから。
このパターンだと、『投資減少 → 景気悪化 → 利益減少 → 株安』で株は即死します。
しかし、現在は世界的にインフレにあるわけです。そして、インフレそのものというより、AIインフラ整備に向けた旺盛な資金需要が金利を押し上げているのです。
金利が上がっている本当の理由
ここが今回のポイントです。アマゾン、アルファベット、メタ、マイクロソフト、オラクルの5社が今年発行した社債は、8月中旬までで約2,200億ドル。昨年通年が1,210億ドルだったので、桁違いのペースです。ゴールドマンは今年2,500億ドル、来年4,000億ドルと予想しており、さらなる社債の発行が予定されています。
バークレイズによると、AI関連の起債は米投資適格債の発行全体の15%に達しています。エヌビディアも6月に5年ぶりの社債(250億ドル)を発行し、SpaceXも上場直後に250億ドルを調達しました。
政府「金貸して」、アマゾン「金貸して」、グーグル「金貸して」、メタ「データセンター作るから金貸して」…etc。
世界の貯蓄というパイは有限ですから、資金の需要が高まればお金の値段(金利)は上がることになります。加えて、米議会予算局は2026年度の財政赤字見通しを2.1兆ドルに引き上げました。国の借金が膨らみ続ける中、長期国債を大量に発行し続ければ、買い手は『上乗せ(タームプレミアム)』を要求します。
これらをまとめると、因果関係はこうなります。
✔︎『AI投資増 → 社債発行増 → 資金需要増 → 実質金利増 → 長期金利上昇』
つまり、『金利が上がったからAIが止まる』のではなく、『AIが止まれば金利は自然と下がる』という状況です。
このように、金利上昇はブームを否定する材料ではなく、行き過ぎた資金調達へのブレーキとして働くかどうかといった程度で、「金利が上がったからAIバブルが終わる」というような主張は、なかなか難しいように感じます。
ここが、エミソさんらAIバブル崩壊派との、見え方の違い、解像度の違いといったところでしょうか😤
金利以上に稼いでいれば問題なし!
『AIが借金しまくって金利が上がっている』だけで終わると、やっぱりAI怖いになりがちです。しかし、肝心なのは『借りた金でちゃんと儲かっているのか』ということです。これを決算で確認していきましょう。
目安となるのがROIC(投下資本利益率)です。
例えばデータセンターに100億円投資して、毎年50億円の営業利益が出るならROICは50%となります。
このとき借入金利が4%から5%に上がっても、利払いが4億円から5億円になるだけで、年50%もリターンを産む事業を止める理由にはなりません。
もちろん、利払いのせいで利益が削られることになるので、その分は株価にとって悪材料ですが、本質は50%という巨額リターンですからね。
それでは、実際の数字を見てみましょう👇
🔸アルファベット(4〜6月):Google Cloud売上248億ドル(前年比+82%)。営業利益は28億→88億ドルで3倍超、利益率は20.7%→35.6%🚀
🔸アマゾン(4〜6月):AWS売上422億ドル(+37%)。営業利益は102億→166億ドル(+64%)、利益率39.4%🚀
🔸マイクロソフト(2026年度):Azureは+43%で年間売上1,000億ドル突破。Intelligent Cloudの営業利益は+31%🚀
🔸エヌビディア(5〜7月):データセンター売上+117%、営業利益+124%🚀
このように、『AIデータセンターを作りまくっているけど全然儲からない』という状態では全くありません。
むしろ、クラウド大手では、利益が売上以上のスピードで急拡大していますので、金利が多少上がったところで全く問題はありません。
裏を返すと、AI半導体企業以外は悲惨なことになっていくわけですが😿
まとめと来週の見どころ
こんな感じで、金利が多少上がろうが極端に心配しすぎる必要はありません。もちろん、株価の上昇阻害要因ではありますし、金利が上がると他の企業にとっては辛いので、株価全体のパフォーマンスは落ちることになるでしょう。
しかし、経済にブレーキがかかれば勝手に金利は下がり、そしてAIだけは変わらず儲かるので、格差が拡大してAI株だけがメチャクチャ上がるというK型の格差になるだけですね。
というわけで、現在の金利上昇相場を乗りこなすために覚えておくポイントは以下の4つです。
①現在の4.8%の金利は『インフレ』ではなく、政府とAIによる『お金の奪い合い』が原因。
②AI企業は借りた資金でしっかり稼いでおり、クラウド営業利益は驚異的な伸びを記録中。
③ただし設備投資のペースも凄まじいため、ROICの推移(ちゃんと利益が出てるか)は課題。
④来週はPPI、オラクル決算、CPI、FOMCと、この仮説が試される重要イベントが目白押し。
また、来週(9月8日〜11日)の具体的なスケジュールと見どころを確認しておきましょう👇
🗓️スケジュール(日本時間)
・9/7(月) 米国はレイバーデーで休場。実質的なスタートは9/8(火)17時のプレマーケットから。👌週内:財務省が8月に発表した『長期債の買い戻し拡大』プログラムが始動。
・9/10(木)21:30: 8月PPI
・9/11(金)早朝:オラクル決算(現地10日引け後)
・9/11(金)21:30:8月CPI(予想:総合+0.4%、コア+0.2%)
・9/15〜16: FOMC
来週はCPIも気になりますが、強くても弱くても本丸ではなく、最も注目されるのはオラクル決算でしょうか。
オラクル決算は『借金でAI』の最前線で、5社の中で最も財務レバレッジをかけている会社ですからね。受注残やFCFが崩れればAI社債全体に波及することになります。
もっとも、致命的な崩れでもない限り、懸念でAI半導体株が下げるのであれば、喜んで押し目を拾っていくタイミングでしょう。
9月は歴史的に米国株が最弱の月です。指数が1〜2%動く日に、メモリ株は5〜10%動くかもしれません。私たちにとってはここが最大のチャンスです!
円高も重なっていますので、しっかり米国株を買って年末の大相場に備えましょう。
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