米国の経済指標が堅調かつ強めのインフレ指標が並んでも、FRBは利上げを見送るという判断に傾いていますから、利上げのハードルというのはやはり相当高いということになります。ドルインデックス（主要通貨に対するドルの強さを指数化したもの）を見ても、調整は止まらずという流れになっています。

ドルインデックス（日足）:TradingView

この辺は昨日も解説した通りですね。103.90ポイントを割り込んで、ずるずると垂れ下がっています。ドル円もこれに合わせて調整下落を余儀なくされました。もっとも、株高による円安で支えられているので、一定以上の底堅さはありますが。

で、今日の注目は言うまでもなく21:30発表の米5月雇用統計ということになるわけですが、とりわけポイントは平均時給（賃金上昇率）ということになりそうです。もちろん、NFP（非農業部門雇用者数）の数字も重要ですが、おそらく影響は初動だけでしょう。よっぽど予想から乖離すれば別ですが。

今夜の想定レンジは1ドル＝138.50〜140.50円！ロングでギャンブル

昨日は米1-3月期単位労働コストと、米5月ISM製造業の支払い価格指数が下振れしたことに強く反応した印象です。やはりインフレ後退、6月利上げはなさそうとの見方が強まったことで金利が低下、ドル安に。一方で、利上げ停止を意識して、株は買われ、原油や金といった商品も買い戻される流れとなりました。

株式市場は良いとこどりの楽観なのでしょう。少なくともJOLTS求人件数を踏まえても、まだまだ労働需要は高く、米経済は強いと。そして、インフレによる生活費の高騰で労働意欲も高まりつつあり、労働者という供給サイドを考えるとNFPは強めに出そうということですね。

で、あわよくば労働者という供給が増えているんだから、平均時給が下がって賃金インフレ後退で利上げ停止になれば良いなと、そういうベストシナリオを株式市場は織り込んでいく流れとなっています。

ただ、こうなると為替の反応はちょっと悩ましくはありますけどね。平均時給が強ければドル高復活はあり得ますが、利上げを警戒して株価が押し下げられるようだと、結局、円高・ドル高で結局ドル円は伸びないみたいな展開もあり得るでしょう。

ドル円（日足）のチャート：外為どっとコム

NFP（非農業部門雇用者数）の予想は前月比＋19.0万人増となっており、最近の強めな雇用指標を考えると控えめな印象。であるなら、雇用者数が増えるのはほぼほぼ間違いないですし、初動はどうしても雇用者数の数字に引っ張られがちですから、指標ギャンブルするならドル円はロング（買い）ですね。

しかしながら、平均時給に関しては、6月利上げを意識させるほど強いかという話になるわけです。見送りという空気を一変させるには、予想の前月比＋0.3%・前年比＋4.4%をしっかり上回ってくることが最低条件。先月4月分が前月比で＋0.5%でしたから、できればこれぐらいの数字は欲しい。

そうなると、やはり再度利上げが織り込まれての140円というハードルはかなり高いものと考えられます。しかも、下手すると利上げを嫌気した株安からの円高という動きも重なってくるわけですから。

というわけで、ギャンブルはロング（買い）でも、なるべく初動で逃げたいですね。流石に140円は遠いので139.50〜139.60円レベルを目標にトレードするイメージです。

まぁNFPが予想並でも平均時給が強めなら、ドル買い戻しは強めでなんだかんだ上昇しそうではあります。今の水準はやや売られすぎ感がありますから。ただ、継続してずっと上がるかというと微妙なので、両方が強くない限りは半分以上は初動で利食いした方が無難。

あとは、両方強めで株価が堅調であれば140円もあり得ますが、条件としてはやや厳しいですからね。なんだかんだ、一度は落ちてきそうなので、初動で一旦利食いして、平均時給の強さなどをトータルで評価して、次のトレードを決めれば良いとは思います。

あとはNFPが強めで平均時給が予想を下回った場合は、戻り売りを検討するのはアリです。140.10円に損切りを置いて、139円台半ばから売っていくのは、そこまでリスクは高くないように思います。でも、138円台で下げ渋るのであれば、深追いはせず利食いでしょうね。

この場合でも、やはり株価がイケイケどんどんになると下がらずでしょうし、債務上限問題が解決すると国債の発行額が急激に増えて債券の供給増から金利上昇が見込まれていますので、リスクオンで日経平均が32,000円を突き抜けていくような値動きになっていたら、ショートも控えましょう。

また、トレ転といった声もありますが、トータルで見るとまだまだそこまでは行かないと考えています。6月の利上げ停止で上値が重たくなっているものの、日銀がYCC修正に動かない限りは、絶対的な日米金利差というのは維持されやすいわけで、その中で日経平均・日本株が上昇するのであれば、ヘッジで必ず円売りが出ますからね。

なので、年末はともかくとして、日経平均が底堅く推移している限り、ドル円の大崩れはないものとして、ここ1〜2ヶ月は押し目を意識したトレードをやっていこうとは考えています。

今日のトレードは、NFPは強め想定で少なくとも初動は上でしょってことで、ドル円ロングのギャンブル。さらに万が五千ぐらい平均時給も強めなら、よほど株価が下げない限りは1ドル＝140円台回復は十分あり得ますからね。一応、初動で利食いはしますが、NFPも平均時給も強いなら半分だけ利食いするみたいなトレードもあるので、その辺は自身で調整してください。もちろん、NFPが強くても平均時給が弱いなら戻しは限定的でしょうから、その場合は全利食い。

あとは、両方弱ければ損切りして終了。まぁ短期なら追っかけショートもありですが、NFPや平均時給が前月比でマイナスになるとか、よっぽどの数字出ない限りは、そこまで下値余地もなさそうなので、慎重にやってきましょうということで。

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困った時の通貨強弱。通貨強弱を見ると、1週間（左）では圧倒的な円高。本日営業日（右）で見ると円高・若干のドル安からの、極端なドル買い戻し。ロンドン勢の買い戻しが一巡すれば、またドル円は下がりそうな気がするのだが。 pic.twitter.com/DaGR6CZuiL

— 米国株アライさん💛完全先出しFX実況戦士 (@pawhara_arai) January 3, 2023

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