昨日の米1月CPI（消費者物価指数）は予想を上回る強目の数字。ヘッドラインが前月比＋0.5%・前年比＋6.4%（予想＋0.5%・6.2%）、コア指数が＋0.4%・＋5.6%（予想＋0.4%・＋5.5%）となっています。

これを受け、相場は乱高下となりました。最も懸念されていたサービスインフレが減速したので、一旦ドル売りに傾く場面もあったようです。もっとも、最終的には強い数字を評価してドル円は上昇となっています。

まぁドルに関しては、これだけ強くてこの程度の値動きという気もしますけどね。以前のようなドル高一辺倒にはならないということでしょう。あまりドル高ばかり意識しすぎるのもどうかという話ですね。

で、思ったほどドル高になっていない、株安になっていない背景としては、ある程度の織り込みがあったことと、この程度ではFRB（米連邦準備制度理事会）の方針、政策見通しが変わらないからということに尽きます。パウエルFRB議長もディスインフレには満足しているとしているわけですから。

次も、その次も利上げはするでしょうが、その間に弱めの指標があれば、おそらくは打ち止めとなることを見越しているわけです。一方で、12月のCPIは前年比＋6.5%（6.45%）、1月は＋6.4%（6.41%）と、小数点台1位まで見ると、ほとんどインフレは減速していないと言えます。

したがって、2月のCPIなどで、同じか上回ってくる可能性が出てきているわけですから、やはり株価の下落には注意しなければならないでしょう。

今はディスインフレ（物価上昇率の低下）が継続している状況ですが、次も前年比＋6.4%といった数字が出てくるようだと、FRBもディスインフレ見通しに変化が出てくるでしょう。そうなれば、マーケットも緊張感を高めることになります。

そして、今夜は22:30に米1月小売売上高の発表が予定されています。前回12月分が悪天候で弱かった分、今回は強目の数字、前月比＋1.8%、自動車を除いたコア指数が＋0.8%と見込まれています。バンク・オブ・アメリカなど、クレジットカードのデータから、＋3.0%といった予想も出していますので、強め想定で良いのかなと思います。

それでは、今後の展望を踏まえながら、為替と株のトレード戦略について解説していきますので、よろしくお願いします。

米国株：バフェット神の真意は？継続して原油高・インフレ想定！

今夜の米小売が予想を上回ったとして、政策見通しが変わるかと言えばNOなので、結局、なんだかんだの株高は続くでしょうね。どこかでインフレが下がれば、短期的には市場の想定通りの軌道になっていくわけで、しばらくは踊り続けるのでしょう。

とはいえ、ここ数週間で年初からのショートカバー（売りポジションの買い戻し）の解消が進んだとのことで、上昇も一服感が出てくるのかなと。買い遅れまいと買っていた勢と、売りポジションの解消による買いの両方が概ね出尽くしたでしょうからね。

良い材料が今後も続けば買われ続けるでしょうが、どこかでギクシャクしてくることは、ほぼ間違いないわけで。まぁ今は米経済が堅調で、リセッション（景気後退）すらないといったような見方すら台頭し、浮かれているわけですが。

逆に言うと、景気後退すらない最高の見通しでこの程度なわけですから、そろそろ上値もタカが知れているといった感想です。

米主要株価指数（日足）:TradingView

ここ2〜3ヶ月ぐらいは押し目押し目で買っていく相場なんでしょうけどね。半年先、1年先を考えると少し悩ましいですね。ドル円も伸び悩みといった感じで、以前のようなゴリゴリ円安・ドル高の流れもないですから、個別銘柄は特に焦って買う必要はないでしょう。

個別株といえば、バフェットがTSMC（台湾セミコンダクター）の9割を手放したと報じられていました。昨年12月末時点の話なので、ややタイムラグはありますが、インフレ懸念でしょうね。台湾有事などとも言われていますが、それだとアップルを買い増す理由はないですから。

やはりエネルギー、特に石油関連株を買っているのを見ると、原油の高止まりが続く、そしてインフレも継続するとの想定なのでしょう。実際、商社株も買い漁って爆益出してますからね。

というわけで、バフェットの行動を踏まえれば、インフレ継続と見て中小型のハイテク株はぼちぼち落としておいて良いのかなと思います。そろそろピークが近いように見えますからね。

為替：FRBの政策見通しが変わらない限りドル高には限界がある

133円台には乗せましたが、133.00円ラインがメチャクチャ重たかったですからね。今日の米小売で強めの数字が出れば134.50円ぐらいまではありそうですが、135.00円の大台節目を破っていくイメージはないですね。

まぁ繰り返しになりますが、今日の小売が強かったからといってFRBが行動を変えるほどではないんですよね。前月比＋4.0%とかドチャクソ強ければ別なんでしょうけど、それでもいきなり利上げを5回も6回も繰り返すような転換があるかと言えばないですからね。3月と5月に利上げして、さらに6月も利上げするかどうか程度でしょう。6月までに鈍った数字が出れば、打ち止めと、そういった見方です。

あとは、4月に向けては日銀アタック（債券売り）ということで、なんだかんだ円高になる場面も出てきそうですから、まずはちょっと一段上にレンジを移したぐらいで考えておきたいですね。過度なドル高を期待しない方は良いでしょう。

ドル円（日足）のチャート：外為どっとコム

今日はロングでギャンブルして良いとは思います。弱い数字が出るとサプライズですが、極端に弱くもなければ、せいぜい下値は132.00〜132.50円でしょうからね。雇用統計、CPIの貯金がありますから。サプライズを期待するよりかは、今日は素直に乗っかって良いと思います。小売のデータはサプライズあんまりないですし。

一方で、上値も134.50〜135.00円レベルが限度でしょう。結局のところ、FRBが行動指針を大きく変えるようなデータにはなり得ないわけで、レンジ的には132.00〜134.00円レベルをコアレンジと考えてトレードしていけば良いのかなといったところです。133.00〜133.50円で入ったら、今日は欲張らないで、初動でしっかり早めに利食いしたいです。

ユーロドル（日足）のチャート：外為どっとコム

質問のあったユーロドルですが、下げてはいるけど底堅いです。ポンドもそうですが、ユーロも歴史的な低水準で、これ以上売る余地がそこまでないんですよね。で、ECB（欧州中央銀行）も金利を上げているわけですから、FRBが利上げバシバシしていくような行動にでもならない限りは、パリティは見えないですね。

なので、本質的にドル高・ユーロ安気味ではありますが、そんなにそんなに下げ余地もないので、安易に売ると担がれて死ぬ未来しか見えません。まぁ欧州は核戦争リスクがありますから、かといって買うのもアレなんですけど。まぁとにかく、もう極端に下げるようなイベントは核戦争以外ないと考えておいて良いでしょう。

とりあえず、引き続きドル円は押し目狙いでやっていきたいですね。ただ、去年のようなガンガン上がるような相場ではなくなっています。そういったイメージでトレードするとなかなか厳しいですから、小まめな利食いを心がけながら、あとは下がってくるのを待ったりしながらトレードしていきましょう。

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