毎年恒例の翌年（2024年）の為替展望を占うシリーズです。まぁ為替の長期見通しというのはかなり難しいので、当たるも八卦当たらぬも八卦ではありますが、それでも昨年の予想見通しを踏まえ、実際の値動きとを比較して今後の展望に活かしていくのは意味がありそうかなと。

ちなみに、2023年の為替予想のほとんどは円高・ドル安になる、というものでした。結果的に円安・ドル高となりましたが、予想と結果が真逆の結果となった背景には、日米の金融政策見通しの乖離が大きく影響しています。

→2023年ドル円相場は「115円」が下限？ドル全面安の運命の逆転はあり得るか（外部サイト：ダイヤモンドオンライン）
→2023年の展望：ゆっくり進む円高、日銀本格利上げならショック発生＝植野大作氏（外部サイト：REUTERS）

ご覧のように2023年の予想は概ね円高・ドル安というものでしたが、この背景には2022年末に日銀がサプライズのYCC修正（イールドカーブ・コントロール）の修正を行ったことでマイナス金利政策からの脱却期待が高まったこと。また、FRB（米連邦準備制度理事会）が利下げをするであろうという見方が影響しています。

ですが、結果的には日銀はYCCの調整を進めたものの、マイナス金利解除といった正常化へ向けては二の足を踏んで円売りが継続しましたし、FRBも想定以上の米景気の強さと原油高でインフレが再燃しかねないこともあって利上げをし、今年は利下げしませんでしたからね。

このように予想と真逆のようなイベントが起こった場合、当然ですが相場も全く逆方向に進むことになります。したがって、いろいろなところにある展望予想というのは、あくまで現時点での想定に過ぎません。どのような根拠での予想なのかを踏まえ、常に見通しを考えていくのが重要でしょう。

円高・ドル安がメインシナリオ！やや織り込みすぎなので実現しなかった場合の反動には要警戒

じゃあ2024年はどうなるんだよって話ですが、基本的には円高・ドル安想定ですよね。どこを見たってみんなそう言ってます。逆張りは難しい。この背景にあるのが、FRBの利下げ観測ですね。早ければ3月、遅くとも5月から利下げを開始することがコンセンサスとなっています。また、短期的には1回0.25%の利下げではなく、0.50%や0.75%の大幅利下げもあり得るといった見方も出てきています。
金利先物市場が織り込む確率は上記の通りで、3月からの利下げ、2024年はトータルで6-7回（1.50-1.75%）の利下げがメインシナリオ。この見通しが大きく変わるようなことがあれば、ドル安が進むという前提が崩れることになりますので、特に米国のインフレ動向や景気指標には注目しておきましょう。

一方で、日銀のマイナス金利解除といった金融政策の正常化、さらに利下げについては、現時点ですでに織り込みすぎな感がありますね。海外勢は勝手に1月にマイナス金利解除を織り込んで行ってますが、植田日銀総裁の態度を見ているとやらなそうな。でも、発言がコロコロ変わるので悩ましいんですよね。

まぁ仮にマイナス金利を解除しても0.1%の利上げに過ぎないわけですから、さっさと解除して次に備えたほうがいいような気がしますけどね…。

とにかく、懸念を挙げるとすれば、全体的には前のめりになって織り込み過ぎている感があるので、どこかでドルの買い戻しや円売り再びというのはありそうです。特に日銀はどうせ利上げできないというか、そもそも日本の経済自体がイマイチで、しかもインフレもピークアウトしてるっていう…利上げする理由は皆無！

ドル円（日足）のチャート

個人的なドル円予想としては、行っても1ドル＝130円前後が底なのかなと。また、目先の下落ピークは1月なのかなと思います。米利下げについては織り込まれるだけ織り込まれたので。ドルそのものの下げも、もう下げも限定的ですから下値余地は小さいのかなと。

さらなるドル安のためには、やはり早期3月利上げがほぼ現実になる、0.50%以上といった大幅利下げも現実的な流れになることが必要になってくるのかなと。あとは、米国の経済指標が急激に悪化、ショックレベルになるならドル安の相当な加速はありそうですが。

で、日銀はマイナス金利解除はできても利上げはできないわけですから、それこそマイナス金利解除期待の1月が目先の円高のピークか。あとは、4月の解除は現実的な話ですから、またそこへ向けてジリジリと円高が進むパターンは想定しておきたい。

まぁ年明けフラクラで下げたとしても、1ドル＝136-138円程度が目先はいっぱいかなと。それ以上は、やはりFRBの早期利下げ、日銀のマイナス金利解除といった材料が現実にならないと厳しいかと。

また、仮に利下げが現実になったとしても、1ドル＝130円前後から下は流石にやりすぎ感があるので、このレベルでは徐々にドル転換をしながら新NISAの成長枠で個別銘柄を拾っていくのが良いのかなと思います。結局、短期的には株価の値上がりよりも、為替相場の動きの方が資産価値には大きく影響しそうですからね。米国株が上がっても全然資産が増えないっぴ！

米国株は史上最高値更新を続けてるけど日に日に円高で資産が減ってりゅう🤮🤮🤮 pic.twitter.com/bsj1x57AgO

— 米国株ゆきママ💛FX実況アライ軍筆頭戦士 (@pawhara_arai) December 30, 2023

特に年前半はドル安と円高が意識されやすそうなので、成長枠についてはゆっくり取り組んで良いと思います。まぁそれより、毎月10万円の積立枠をオルカンなり、S&P500インデックスなりで埋めるのが先ですが。

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ECB、BOEの利下げが強く意識され、GOサインが出ればユーロ安は確定的か！押し目を狙うなら豪ドル円で

では、他の通貨はどうかというと、対円では明らかにユーロは過大評価な気がしますけどね。今年は円安・ユーロ高の値動きも顕著でしたが、流石にEU経済が悲惨な状況になる中で利上げはないわけで。やはりこちらも次の方針としては利下げなわけで、現実にいよいよ利下げという話になった時には、ユーロ安は避けられないわけで。

これはポンドも同様ですね。今のところは利下げが織り込まれてはいないものの、いよいよ利下げとなった場合のギャップは大きそうな気がします。

🏦2024年中銀の利下げ幅・開始時期の見通し・現在の政策金利まとめ
🇺🇸FRB（3月開始/−1.56%）5.50%
🇪🇺ECB（4月開始/−1.61%）4.50%
🇬🇧BOE（5月開始/−1.41%）5.25%
🇨🇭SNB（6月開始/−0.86%）1.75%
🇨🇦BOC（4月開始/−1.20%）5.00%
🇦🇺RBA（6月開始/−0.53%）4.35%
🇳🇿SNB（6月開始/−0.86%）5.50%

— 米国株ゆきママ💛FX実況アライ軍筆頭戦士 (@pawhara_arai) December 31, 2023

このようにECB（欧州中央銀行）やBOE（英王立銀行）については、金利先物市場の織り込みはかなり進んでいるんですよね。あとは、中央銀行さえ利下げを予告すれば、為替市場もGOサインでそれについて行くことになりそう。

特にユーロに関しては、FRBが利下げしたら次はという意識があるので、年明けから2-3ヶ月の欧州の経済指標は重要となるでしょう。弱ければ、やはりということでユーロ安が加速しそうです。

ユーロドル（日足）のチャート

ユーロドルはドル安というテーマがあるので、底堅い値動きを続けそうですが、かといって上に放たれていく展開もやや考えにくのかなと。利下げで欧州経済が底打ちという話にまで発展していくのであれば、その可能性はありそうですが。いいとこ1.150ドルぐらいが上限で、下限は1.050ドルぐらいなのかなと。

ユーロ円（日足）のチャート

ユーロ円に関しては、下値余地は結構大きいのかなと考えています。やはりFRBに続いてECBが利下げに転じる動きが明らかになれば、主要通貨に対する円キャリートレード（円を売って外貨を買う動き）の完全終了が意識されるわけで。2023年の年初レベルの1ユーロ＝140円ぐらいは、とりあえず目指すのかなと。

その後は欧州経済の状況次第ですね。底打ちで回復という話になれば、ぼちぼち140円ぐらいで止まりそうですが、回復の傾向がないとなれば、130円を目指していくことになるでしょう。この辺はユーロドルの相場にも影響されますが、再び1ユーロ＝1ドルのパリティ（等価水準）を目指すのであれば、130円レベルは全然あり得る数字でしょう。

ポンド円（日足）のチャート

ポンド円も今年上げ過ぎた分、来年の反動が怖いところではあります。BOEはかなりタカ派的な姿勢を堅持していますが、これがFRBの利下げ開始で変わるかどうか。変わればポンド売りのGOサインで、とりあえず1ポンド＝160円台を目指しそう。

豪ドル円（日足）のチャート

円売り復活を期待してロングするのであれば、豪ドル円が有力になりそうか。もっとも、米ドル円が下がるのであれば、豪ドル円の下落も避けられないため、序盤は難しいでしょう。ただ、想定される利下げ織り込み幅は小さいので、各国中銀の利下げが意識されて円高が一巡したあとは、スワップ的にも一番の勝ち組となりそう。年半ば以降、様子を見ながらロングを狙って行きたい通貨ペアではあります。

まとめると、こんなところでしょうか。とりあえず、年明け1月5日の米雇用統計、1月22-23日の日銀金融政策決定会合が、まずは大きなイベントとして意識されそうなので、そこまでは戻り売り・ショート戦略でやって行きたいと思います！

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