トランプ次期大統領が激おこ！2025年1月20日の大統領就任を控えて前途多難というか、そろそろマーケットも身構え始めているのか、米国株が伸びなくなってきたので、2025年の米議会や債務上限を取り巻く現状について、株価への影響も含めて分かりやすく整理・解説していきたいと思います。

就任早々、債務上限問題と予算成立の壁に挑む展開に

トランプ氏が怒っている理由としては、自身が大統領に就任して以降、予算の成立や債務上限といった大きな問題に、いきなり対処せねばならず、困難な運営を迫られるからですね。

（1）2025会計年度（2024年10月～2025年9月）の歳出法案が未成立のまま
（2）2025年1月1日に債務上限の効力停止が切れる

まず、（1）の予算成立については、未だに成立に至っておらず、9月からのつなぎ予算（予算延長の臨時法案）連発で、なんとか保っている状況ですね。

予算案が通らなくなると、政府の運用資金が尽きて、シャットダウン（政府機関の閉鎖）となります。これを回避するため、「当面は前年と同じような予算水準で、とりあえず数ヶ月だけ支出を続けましょう」というのがつなぎ予算です。

2024年9月に、とりあえず大統領選挙（11月5日）を終えてから考えようということで、3ヶ月のつなぎ予算が成立しました。そして、つなぎ予算が切れる12月21日にも、またも2025年3月半ばまでのつなぎ予算が成立しています。

トランプ氏としては、この12月の時点で連邦債務上限の引き上げを付与したつなぎ予算を要求していました。これが難しくなると、（債務上限の）期限延長を要求していましたが、結局は民主党に加えて共和党からも造反の動きがあり、債務上限への対応を取り除く形でのつなぎ予算が成立することとなりました。

要するに、トランプは自分が大統領になる前に、（2）の予算上限問題をクリアにしたかったわけですが、その要求が通らず怒っているというわけです。

9月：2025年度の予算が成立せず、12月までのつなぎ法案成立
11月：大統領・上下両院選で共和党のトランプ勝利、上下両院とも共和党に
12月：債務上限の撤廃・引き上げ要求も通らず、3月までのつなぎ予算のみ成立

というタイムラインとなっています。

ちなみに、つなぎ予算はあくまで『当面の政府支出（運営費）を補填する』暫定法案であり、債務上限は『国債の発行上限を法的にどうするか』という別々な問題ではありますが、政府の資金が足りなくなるという意味で同一視されがちなので、少し注意です。

※債務上限とは、米国連邦政府が借り入れ（国債発行）によって調達できる資金の上限を法律で定めたもの。この上限に達すると、議会が上限を引き上げたり、上限法案の効力を停止しない限り、新規の国債発行が制限され、連邦政府が支払いを続けるためのお金が足りなくなり、シャットダウンや、最悪の場合は国債の償還（返済）ができずに、債務不履行（デフォルト）に陥る可能性があります。

当面のシャットダウンを避けるために共和党議員も妥協

なぜ民主党議員だけでなく、トランプ氏の所属する共和党議員も、債務上限撤廃・延長を含めたつなぎ予算に反対したかというと、債務上限問題を絡めると、つなぎ予算が成立しそうになかったからですね。

つなぎ予算が成立しなければ、政府の資金が尽きて給与が払えなくなるため、政府機関閉鎖（ガバメント・シャットダウン）と言って、ほぼ全ての連邦政府機関の業務が一時的に停止されます。

主に『安全や生命維持に必要がない』と判断された政府業務が停止されます。閉鎖された機関の政府職員は一時帰休状態となり、給与の支払いもストップします。

安全や生命に関わる業務、警察や軍、緊急医療サービスなどは、予算がなくても継続されますが、これは要するに無給で働くことになるため（予算が成立すれば後に支払われますが）、政府に雇われている公務員からの評判はガタ落ちになります。

シャットダウンは米国で何度も繰り返されていることでもあるため、マーケットにとっては大きな影響はありませんが、政治家にとっては公務員の恨みを買うことになるわけで、政治的には避けようという意識はあります。

2025年半ばに債務上限の壁が現実に！市場は徐々にXデーを織り込む

今後の流れとしては、2025年1月1日に政府債務上限の効力停止期限が切れるので、ここから債務上限の壁を意識することになります。

すでに債務上限には達しているものの、すぐにデフォルトするわけではなく、当面は財務省の特別会計措置（債券の償還・返済で一時的に債務が減る上限が先延ばしされる等）により、数ヶ月は引き伸ばせると言われています。

このため、実際には2025年半ば（6月〜8月ごろ）がXデーとなるとされています。ここまでに債務上限の引き上げ、あるいは法案の効力停止が決まらない場合、デフォルトという最悪な結果になります。

なので、冒頭の画像にあるように、トランプ氏は「民主党はこの危険な問題について、来年6月ではなくバイデン政権下の現時点で採決を強いられなければならない」「この潜在的な惨事の責任は共和党ではなく民主党にある！」と怒っているわけですね。

2025年1月3日からは、11月の選挙で当選した議員が正式に就任するため、上下両院ともに共和党が過半数を占めるわけですが、年明け以降、共和党議員がしっかり結束を見せて迅速に予算を成立させられるか、また、予算上限の引き上げを速やかに決定することができるかなど、注目しておきましょう。

マーケットへの影響は？米国株の上値は徐々に重たくなっている

というわけで、大統領・上下両院とも共和党というトリプルレッドに沸き、市場がこれまで楽観していたほど、トランプの議会運営は簡単ではないのでは…との見方も徐々に強まっていますから、短期的な株価の値動きには注意しておきましょう。
12月18日のタカ派FOMC（米連邦公開市場委員会）以降、バリュー銘柄・景気敏感株を中心に売られ、ダウ平均株価が元気ないのも足を引っ張っているというか。

ハイテク株の買い戻しで一段高となったナスダックも勢いを失いつつありますし、やや上値は重たそうに見えます。

引き続き、短期の指数トレードはハイテク株の割合が高いナスダック100中心ですが、やはり21,500ポイントラインを意識して、これより下なら少しずつ買っていく、上なら少しずつ利食いという感じで高値では突っ込まず、やや押し目意識のトレードをしておいた方が良いでしょう。

流れが変わるとすれば、海外勢が休暇から帰ってくる年明け以降か、あるいは1月10日の米雇用統計ですね。雇用統計が弱い数字だと、ほどよく利下げが意識されて景気敏感株などが買い戻されて、ダウが反発する展開になるなら、また米国株全体がワッショイワッショイで上昇する流れが復活するかもしれません。

現物株については、実体経済とか金利とか関係なく、4ぬほど業績を伸ばしてる半導体ど真ん中のエヌビディア（NVDA）やブロードコム（AVGO）にメガテックをつまんでおけばOK！

ちなみに、NISAは年初で一括か、分散するのが良いかという議論がありますが、以前にも書いたように長期で見ると一括ですね。複利効果で、安く買うよりも早く買ったほうが良いという結論になっています。

特にここ数年は上昇幅が極めて大きいですから、過去のちょっと安いところで買っても長い目で見るとほとんど関係ないというか、早く買ったほうが複利効果の方が大きいので買えって話ですね。

◆参考記事➡︎株高の今始めるべき？一括orつみたて？特定口座の保有株は？新NISAのギモンに答えます！

特に複利効果は運用期間が長ければ長いほど大きくなります。20-30代で始めれば、老後までの数十年間の間に大きな資産形成ができますし、無限お小遣いも実現できますから、しっかりやっておきましょう↓

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