金融不安が目先の大ノイズではありますが、FOMC（米連邦公開市場委員会）、ECB（欧州中央銀行）理事会を通過し、大局的に見た時の相場の方向性ははっきりしてきた感はあるので、その辺を詳しく解説していきたいと思います。

まず、FOMCでは0.25%の利上げが決定。パウエルFRB議長はデータ次第としながらも、市場は利上げ停止を織り込む流れとなって金利が低下、ドル安となりました。強い数字が並べば別として、金融市場のストレスからの信用状況の悪化を踏まえれば、この流れは継続しやすいと考えられます。

一方、ECB（欧州中央銀行）理事会でも0.25%の利上げが決定されましたが、ラガルドECB総裁は「数人の委員は0.50％の利上げが適切だと示唆」「ECBの利上げが一時停止していないことは明白」などと、大幅利上げの可能性、利上げの継続性を示唆したことでユーロ高に。弱い米国のデータが出ると、ドル安・ユーロ高は鮮明となりやすそうです。

この方向性が基本ですね。最終的には、ドル円が伸びなくなってくると当然ですがクロス円も伸びにくくなるわけで、どこかで円高が鮮明となってくるでしょう。もっとも、現段階ではまだまだ米国の金利も高いですし、今日の雇用統計を含め、強い労働市場と高いインフレが維持されれば、円安が継続することになります。

まずはこれを頭に入れた上で、今夜の米4月雇用統計の展望とトレード戦略について考えていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

弱めの数字が出ればドル安も、雇用者が上振れしやすい状況は継続か

リーマンショック時のように銀行株の空売り禁止には至っていないものの、地銀株の空売り行為と市場操作への監視を強めるとしていますので、そういった流れにはなりつつあるのでしょう。なかなかに深刻で、長期化の様相を呈しています。とりあえず、事態を収拾するために貸し出し機能、流動性供給を強化することが発表されて一時的にリスクオフの動きは弱まっていますが、定期的に金融不安がやってくる状況は変わらずでしょう。

したがって、弱い数字が並ぶのであればFRBも本音としては利上げを停止したいわけで、マーケットもそれを強く織り込む流れになりがちですから、ドル安に傾きやすい状況であることは意識しておきたいですね。FRBとECBの政策スタンスの差を見ても、そうなりがちだということです。

で、今夜の雇用統計の事前予想値は、非農業部門雇用者数が＋18.0万人増、平均時給が前月比＋0.3%・前年比＋4.2%となっており、まずまずな数字が想定されています。

まぁ初動はヘッドラインの非農業部門雇用者数の数字に影響されますので、ギャンブルする場合はそれを意識したいですね。最終的には平均時給の数字に引っ張られるとは思いますが。最近の雇用者数の数字はブレも極端ですからね。

JOLTS求人件数などの大幅下振れや新規失業保険申請件数の増加を見ると、そこまで強気にはなれませんが、依然として職を選ばなければ就職がしやすい状況は変わらずですからね。高い給与を出して何がなんでも人を獲得するタームは終わりましたが、需要そのものはまだまだありそうですから、上振れる可能性も十分かなと。

特に去年も一昨年も雇用者数は、目を見張るほど強い数字ではなかったため、季節調整的にも上振れがしやすい要素は割とあるので、弱いと決め打ちして臨むと火傷しそう。

求人件数が顕著に減っているので、もしかすると平均時給は予想（＋0.3%・＋4.2%）を下回ってくる可能性はありますが。前月比でゼロかマイナスとなれば、雇用者数が強くても賃金インフレ後退でドル安にはなりやすいので、その場合は即利食いしてドテンショートも要検討。

ドルインデックス（日足）:TradingView

ドルインデックス（主要通貨に対するドルの強さを指数化したもの）は、今年の安値圏である1.08〜1.10ドルレベルで強くサポートされています。まぁ雇用者数が強めの数字（＋25万人以上）が出れば一旦上かと思われますので、まずはそのつもりで。

調整は進んでいるのでドル円とユーロ円をロングしてギャンブル！

雇用統計がカンカンに強かった場合、初動はともかくとしてドル高でも金融懸念の高まりからリスクオフ（回避）となり、円高となるパターンには警戒が必要でしょう。もっとも、まずは初動の動きを中心に考えていくギャンブルですから、強ければ素直にドル高・円安を意識してトレードしたい。

あとは、やはりよほど強い数字であれば別として、ほどほどだった場合は上値を伸ばすとそれなりに利食いも含めてドルを売る動きは出やすいものと思われます。冒頭でも書いたようにECBとの政策スタンスや、金融不安が米国経済にブレーキをかけることはほぼ確実で、ドルをガンガン買っていくタームは流石に終っていますので、ほどほどで利食いも意識しておきましょう。

ドル円（日足）のチャート：外為どっとコム

ドル円はニュートラルな位置に戻ってきており、よほど弱い数字にでもならない限り、金利の下げ余地も限られていることから、基本的には強めのサプライズを期待してロング・押し目買いという戦略になるでしょう。

現状では134円台での値固めが進んでいますし、弱めの数字で下げたとしても133.50〜133.70円、133.00円レベルの強いサポートがありますから、まずはここで止まるでしょう。買って雇用統計を待ちたい。

非農業部門雇用者数、平均時給ともに予想を上回るのであれば、136.00円前後までは上値が期待できます。もっとも、そこから一段上に行くためには、雇用統計以外の材料も必要そうですし、そもそも雇用統計自体があまり強い場合（雇用者数＋30.0万人以上、平均時給＋0.5%以上など）、利上げ・高金利継続懸念も高まって円高がありそうですから、強めの数字、強すぎる数字でも135.50円などを目安にしながら、順次利食いは進めていきたいところです。

ユーロ円（日足）のチャート：外為どっとコム

予想並か少し下回る程度のちょうど良い数字が出た場合は、ユーロ円が一番伸びるかもしれません。ややドル安に支えられながら、株式市場のゴルディロックス（適温相場）からの円売りで一段高が。ECBの政策スタンスの差も鮮明となってきますからね。

昨日は米地銀問題によるドル高・円高のリスクオフで急落し、21日移動平均線（147.515円）サポートを割り込む場面もありましたが、リスク一巡後は底堅く推移しています。21日戦の下にも146.50〜146.70円といった強めのサポートがありますので、仮に下げてもこの辺りで止まりそうです。

一方、上値は先週から蓋となっている147.80〜148.20円レベルの攻略にやや苦労しており、雇用統計でどうなるかといったところです。

ただ、よほど強い数字が出てドル高からの金融不安再燃で円高にならない限り、ドル安パターンでもユーロ高が支えとなりますので、保険として少し買っておくのは悪くないでしょう。方向的にもユーロ高にはなりやすいので、伸びていくパターンでも安心してホールドしやすさはあります。

とりあえず、ドル円のお供に保険として軽く買いつつ、雇用統計の数字を待つのが良いのかなと思います。

ユーロドル（日足）のチャート：外為どっとコム

ユーロドルは上値が重たくなっていますが、徐々に払拭されていくものと思われます。特に米雇用統計が弱い数字となれば、ユーロドルは上を目指す流れとなるでしょう。まぁ予想を大きく下回る弱い数字が出た場合、1.110ドルの突破を意識してロングしていく程度でしょうか。

逆に強めの数字が出れば、1.093〜1.096ドルレベルでは買いですが、1.090ドルを割り込むなら一旦損切りした方が無難でしょう。


為替は良い具合に調整したので、今夜に関してはまずまず強い数字を意識しながら、ドル円・クロス円ロングでギャンブルするのが良いと思います。やはり、強めなら金利差を意識した円売りというのは出やすいですから、買っていくのが理に適っています。逆に弱めの数字が出たとしても、ある程度は調整していますし、そもそも厳然とした金利差はあるわけですから、まだまだ底堅く推移することが予想されますので。

というわけで、今日もアライさん（@pawhara_arai）で雇用統計のツイッター最速報とトレード実況をやっていきますので、よろしくお願いします。また、記事のリツイート拡散や、興味のあるサービスがあれば、ぜひぜひブログのバナーを活用ください。最近、毎日頑張って記事を書いても0円の無給労働でモチベの低下が著しいのでよろしくお願いします！

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