新規勢待望の買い場キター！ということで、今週の値動きを振り返りつつ、どうなったら株が上がるのかを解説していきます。

まず、今週は強過ぎる米経済指標が株安・円高要因となりました。特にISM非製造業景況指数が予想を大幅に上回り、とりわけ新規受注や雇用の改善が目立ちました。引き続き家計支出は底堅く個人消費は問題なし、雇用も順調ということで、これ以上ない結果となりました。

その翌日に発表された新規失業保険申請件数の減少や、単位労働コストの確報値が＋2.2%と速報値の＋1.9%と上振れしたことも嫌気されました。

要するにインフレ懸念再びですね。米経済は強過ぎるが故にインフレの再加熱があるのではないかと、それがさらなる利上げ（金利の引き上げ）につながるのではないかと、そういったことでハイテク株を中心に売りが殺到し、ナスダックも大きく下げました。

米2年債/5年債/10年債利回り（日足）

8月終わり、先週末までは雇用統計もほどほどの強さだし、ボチボチ金利は下がるかもね〜という期待感もあって週明けの株高だったわけですが、記事にも書いた通り今週は大企業の起債ラッシュで債券の供給増から金利が下がりにくい上に、冒頭の強過ぎる米経済指標がトドメとなって株価は反落と。

ちなみに、どうしてこんなクソみたいな金利高でガッチガチに引き締めてるにも関わらず米経済が強いねんという話ですが、コロナ禍のバラマキによる個人の過剰貯蓄と、あとは引き続きアホみたいに公共事業をやりまくってるからですね。CHIPS法とか、今後5年で合計2,800億ドル（40兆円）を半導体産業に突っ込むわけで、これで景気が加熱しないわけないっていう。

というわけで、先週末から週明けの株高を見る限り、金利が下がっていくような状況、インフレが終わったと確信できるなら株は買いたいけど、そうじゃなかったら今の高値圏では利食いだよねという流れになっています。

どうやったら株は上がる？来週の米経済指標、再来週のFOMCが鍵！

金利が下がる、インフレ後退がはっきり意識されれば、また株価は上昇基調でしょう。そして、先週末に発表された雇用統計を踏み込んで解釈すれば、失業率が大幅アップしたものの同時に労働参加率も下がり、雇用者数の増加はほどほど、平均時給は予想を下回ったわけですから、要はそろそろコロナで溜め込んだ資金を吐き出しつつあるニートたちが、ようやく職探しを始めたという状況でしょう。

これまではこんな給料では絶対に働きたくないでござると言っていたニート共も、ようやく現実に気がつき始めたというか。企業サイドとしては、賃金を上げまくっても人が見つからないという状況が徐々に緩和され、労働者という供給が増えてきて賃金も落ち着きつつあると。

この流れそのものはインフレ後退には十分な材料ですが、悲しいことに今のところはあまり材料視されていません。

闇金メリケンくん！まぁでも平均時給が前年比＋5%とかいう状況がずっと続いてきたわけだから、特に問題ないんちゃう？働きたくても働けない状況ならヤバいけど、求人はまだまだ多いし、働こうと思えば働けるわけだから。
ブラックマンデーとか言っててもしゃーないやろ。 https://t.co/kW7vBfoslB

— 米国株ゆきママ💛FX実況アライ軍筆頭戦士 (@pawhara_arai) September 6, 2023

ちょっと話は逸れますが、米国のクレジットカードの金利が25%に達したという話。まぁ残高も1兆ドルを超えたとのことで、どこかでパンクする可能性はあるものの、まだまだ先でしょう。ちなみに、FRBによるとカード会社が販促のために最初の半年とか1年をゼロ金利でやってるので、現在の平均金利は実質12%程度とのことで消費者の多くは負担を感じてないとのこと。給料の上がらない日本のリボ払いより全然健全！パンクするのはまだまだまだまだ先の話。

んでは、どうなったら金利が下がる、インフレ後退が再度意識されるようになるかというと、1つは米国の経済指標です。来週13日には米8月消費者物価指数（CPI）、14日には米8月小売売上高の発表がありますからね。これらが弱ければ、また株は買われやすいでしょう。

もう1つは、再来週の19-20日の日程で行われるFOMC（米連邦公開市場委員会）ですね。今回は四半期に一度ということで、経済や金利の見通し（ドットチャート）などが発表されます。そろそろ追加利上げは必要ないかも、来年、再来年には利下げを開始するという見方が多ければ、株価の上昇材料になります。

実は先週末に発表された7月26-27日分のECB（欧州中央銀行）理事会の議事要旨では、一部メンバーの意見として、向こう数年間のインフレを抑えるには十分なほどに利上げされているというものがありました。つまり、目先のインフレが徐々に下火になりつつある中、直近のインフレを抑えつけるために無理無理利上げを続ける必要はないという意見ですね。

確かにインフレが再燃しそうな状況ならともかくとして、来年、再来年になれば金利を維持するだけでインフレが徐々に抑制されていくなら、一段と利上げを行う必要はありません。急速な利上げが金融市場に歪みをもたらすことは明らかですからね。クレディスイスの破綻に始まり、米銀の連鎖破綻、先ほど取り上げたクレジットカードのローン金利の急騰も利上げが原因です。

なので、再来週のFOMCで中期的な見通しを意識して、ボチボチ利上げは終わりということが示されるのであれば、市場は落ち着いていくものと思われます。

ナスダック100指数CFD（日足）

ナスダックはまた下げてはきていますが、目先の15,000〜15,200ポイントレベルは追加したいところ。ここで6〜7割ぐらいに仕上げて、来週の経済指標に備えたい。米CPIが予想を下回れば追加利上げ・インフレ再燃など終わる話なので。14,600ポイントの底レベルは割らないでしょうが、最終的にはこのレベルで10割にして気絶。

日経平均株価CFD・日経225（日足）

日経平均は冷えっ冷えな中国景気、さらには米国株の下げに巻き込まれて伸びきれずですが、引き続き買いでしょう。このレベルから下は底堅いと思います。最悪、31,600円レベルぐらいまでの調整は想定しつつ、32,000〜32,300円でしっかりナンピンできるようにトレードしたい。

まぁ英国はともかくとして、米国ほどばら撒かなかった欧州はぼちぼちインフレ懸念は終わりつつあり、さらに中国はインフレどころかデフレなわけですから、米国のインフレをあまり気にし過ぎる必要はないと思います。どうせ落ち着くので、下げを拾えるような資金管理をしながら粘り強く取り組んでいきましょう！

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